macOS Sequoiaでは、セキュリティ向上のため毎月スクリーンキャプチャ権限の確認を促すポップアップが表示される。これにより、アプリがスクリーンやシステム音声を記録するための権限を定期的に見直す必要が生じた。

一部のアプリでは、このポップアップが作業の妨げとなることがあるが、ターミナルを使用して無効化する方法がある。

macOS Sequoiaの新しいセキュリティ機能とは

macOS Sequoiaは、セキュリティを強化するための新しい機能をいくつか導入している。その中でも特に注目されているのが、スクリーンキャプチャ権限に関するポップアップ通知だ。この通知は、アプリがスクリーンやシステムの音声を記録するために必要な権限を毎月確認するよう促すものだ。

これまでのmacOSでは、一度権限を付与すればそのまま継続して利用できる仕様だった。しかし、Sequoiaではこれが変更され、最大で1か月間しか権限を保持できなくなった。この定期的な確認は、ユーザーが不要な権限を持つアプリを見直すためには有効だが、頻繁に使用するアプリにとっては煩わしい存在になっている。

特にパワーユーザーにとって、この通知は作業の流れを中断させるものであり、ユーザーエクスペリエンスを損なう可能性がある。そのため、多くの人がこのポップアップを無効化する方法を探している。次節では、なぜアプリがこれらの権限を必要とするのか、その理由を解説する。

なぜアプリはスクリーンとオーディオの権限を必要とするのか

macOSの設計上、アプリはスクリーンのキャプチャやシステムオーディオの録音を行うために明示的な権限を要求する必要がある。これにより、ユーザーのプライバシーが守られ、信頼できないアプリが不正に情報を収集するリスクを低減している。

例えば、人気のあるスクリーンキャプチャアプリ「Cleanshot X」は、スクリーンショットや画面録画を行うためにこれらの権限を必要とする。もし権限がなければ、アプリはスクリーン上のどんな情報も記録できない。これは明確な例だが、他にも多くのアプリがこの権限を使用しており、その目的は多岐にわたる。

一見すると関係なさそうなアプリであっても、例えばメニューバーのアイコンを管理するアプリなども、この権限を利用してメニューバーのキャプチャを行い、不要なアイコンを非表示にすることがある。このように、アプリがスクリーンキャプチャ権限を要求する理由は多岐にわたるが、信頼できるアプリであれば、特に問題視する必要はない。

権限リマインダーを無効化する手順(ターミナルを使用)

macOS Sequoiaで煩わしい権限リマインダーを無効化するためには、ターミナルを使用するのが最も迅速かつ効果的な方法である。この方法は多少の技術的知識を要するが、一度設定すれば面倒なリマインダーから解放される。

まず、ターミナルアプリ自体にフルディスクアクセスの権限を付与する必要がある。Appleメニューから「システム設定」を開き、「プライバシーとセキュリティ」→「フルディスクアクセス」と進み、ターミナルを追加する。これにより、ターミナルが必要なファイルにアクセスできるようになる。

次に、ターミナルを起動し、以下のコマンドを入力して、リマインダーが表示されるアプリを確認する。

defaults read ~/Library/Group Containers/group.com.apple.replayd/ScreenCaptureApprovals.plist

このコマンドは、どのアプリに権限が付与されているかを表示する。例えば、「Cleanshot X」の場合、次のコマンドを使用してリマインダーを無効化できる。

defaults write ~/Library/Group Containers/group.com.apple.replayd/ScreenCaptureApprovals.plist "/Applications/Cleanshot X.app/Contents/MacOS/Cleanshot X" -date "2054-09-21 12:40:36 +0000"

このコマンドで権限の期限を遠い未来の日付に変更することで、リマインダーを実質的に無効化することができる。

権限管理アプリ「Amnesia」の紹介

ターミナルを使用する方法に代わり、より簡単に権限リマインダーを管理できるアプリ「Amnesia」も存在する。このアプリは、macOS上の各種権限の管理を一元的に行えるツールであり、ユーザーはクリック数回でリマインダーを無効化することができる。

「Amnesia」の特徴は、複数のアプリに対して権限設定を迅速に適用できる点にある。例えば、毎日使用するアプリに対してリマインダーを無効化し、使用頻度の低いアプリは定期的に確認する、という使い分けが可能である。

しかし、執筆時点ではこのアプリは完全に安定しておらず、筆者のMacでは一部の機能が正しく動作しなかった。とはいえ、開発者は頻繁にアップデートをリリースしており、今後の改善が期待できる。

リマインダーの煩わしさから解放されたいユーザーにとって、「Amnesia」はターミナルを使用する方法の代替手段として検討する価値がある。ただし、現時点では完全な解決策とは言えないため、慎重な使用を推奨する。