AMDのRyzen 7 9800X3Dは、発売直後から高い人気を誇り、多くのゲーマーがこのプロセッサーを選択。しかし、ASRock製マザーボードとの組み合わせで故障が多発しているとの報告が相次いでいる。ASRockもこの問題を認識しており、ユーザーの間では原因解明の動きが活発化している。
特に指摘されているのは、異常に高い電圧設定やメモリの互換性問題だ。一部のマザーボードではSoC電圧が1.8Vを超えるケースが報告されており、これがCPUの故障を引き起こしている可能性がある。ASRockはBIOSのアップデートを提供したが、現時点で明確な解決策には至っていない。ユーザーによる調査とメーカー側の対応が引き続き求められる状況だ。
ASRock製マザーボードの高電圧問題 ユーザー報告が示す共通点とは
ASRock製マザーボードを使用するRyzen 7 9800X3Dユーザーの間で故障が相次いでいるが、その原因として高電圧設定が関係している可能性が指摘されている。特に、SoC電圧が1.8Vを超えているケースが複数報告されており、これがCPUの損傷を引き起こしているのではないかと考えられている。
Redditのスレッドでは、ASRock X870チップセット搭載マザーボードを使用しているユーザーが、システムの突然のシャットダウンや起動不可といった症状を報告している。さらに、ASUSやMSIのX870シリーズのマザーボードでも同様の高電圧設定が記録されたケースがあり、特定のメーカーに限らず発生している可能性がある。
ASRockはこの問題を認識し、新たなBIOSアップデートを提供している。しかし、アップデートの内容は主にメモリ互換性の向上や起動の安定性に関するもので、高電圧の問題に直接言及した記述はない。したがって、ユーザー側でSoC電圧を手動で調整する必要があるかもしれない。
この問題の発生が特定のBIOSバージョンや設定に依存するのか、それともハードウェアレベルでの問題なのか、さらなる検証が求められる。
BIOSアップデートだけでは不十分か 安定動作のための対策とは
ASRockが提供したBIOSアップデート「3.20」では、Ryzen 9000シリーズの起動問題への対策が含まれているが、9800X3Dの故障に直接関係する変更点は明記されていない。そのため、現時点ではBIOSアップデートのみで問題が解決するとは言い切れない状況だ。
この問題に対処するために、ユーザーの間では手動でSoC電圧を調整する方法が議論されている。BIOS設定を変更し、電圧を1.3V～1.4V程度に抑えることで、異常な高電圧を回避し、CPUの損傷を防げる可能性があるという。ただし、この方法は個々の環境によって適切な電圧が異なるため、一律の解決策にはならない。
また、メモリ設定も重要なポイントとなる。EXPOやXMPプロファイルを有効にすると、システムの安定性が損なわれるケースがあるため、標準のJEDEC設定を使用するのが安全と考えられる。特に、EXPOメモリとASRock製マザーボードの組み合わせでトラブルが発生する例が報告されており、EXPOを無効化することで安定動作するケースもある。
このように、BIOSアップデートを適用するだけでなく、手動設定の調整も必要になる可能性が高い。メーカー側からの正式な対策が発表されるまで、慎重な運用が求められる。
9800X3Dユーザーが取るべき対応 今後の展開に注目
現在、ASRockやAMDはこの問題を調査中であり、さらなる公式対応が待たれる。しかし、影響を受けているユーザーはすでに多く、今後の展開次第ではリコールや無償修理の対応が求められる可能性もある。
ユーザーにとって最も重要なのは、現時点でできる対策を講じることだ。具体的には、BIOS設定でSoC電圧を手動調整し、EXPOメモリの使用を避けることが推奨される。また、公式のBIOSアップデートがリリースされた場合は、速やかに適用することで安定性を向上できるかもしれない。
一方で、この問題がASRock製マザーボードだけでなく、他メーカーのX870シリーズにも影響を及ぼしている可能性がある点にも注目すべきだ。現時点ではASRockユーザーからの報告が多いが、ASUSやMSI製のマザーボードでも同様の症状が発生しているため、AM5プラットフォーム全体の設計に何らかの問題があるのではないかとの指摘もある。
この問題の原因が特定され、確実な解決策が提示されるまでの間、ユーザーは慎重な設定を行い、マザーボードメーカーの発表に注視することが求められる。今後、ASRockやAMDがどのような対応を取るのか、さらなる進展を待ちたい。
Source：PC Guide