「MicrosoftがWindows 11の最新バージョンでIntelの第8世代、第9世代、第10世代プロセッサのサポートを打ち切る」という情報が広まっている。しかし、これは事実ではない。
MicrosoftはWindows Latestに対し「Windows 11のハードウェア要件は変更されていない」と明言しており、Intelの第8～10世代プロセッサも引き続きサポート対象となっている。ただし、OEM向けドキュメントの更新により、一部の誤解が生じたことが混乱の原因と考えられる。
このリストは新規PC向けの推奨プロセッサを示すものであり、既存ユーザーのサポート可否を決めるものではない。今後もWindows 11を利用できるかどうかを確認するには、Microsoftの「PC正常性チェック」アプリを活用するのが確実だ。
MicrosoftのOEM向けプロセッサリスト変更が引き起こした混乱
Microsoftが2025年2月13日に公開した「Windows 11 バージョン24H2対応Intelプロセッサ」のリストは、従来のものと比べて大きな変化があった。最も目立つのは、Intelの第8世代、第9世代、第10世代のプロセッサがリストから除外された点である。これが「MicrosoftがWindows 11のサポートを打ち切る」との誤解を招いた原因だ。
しかし、この変更はあくまでもOEM（パソコンメーカー）向けのものであり、一般ユーザーの既存デバイスのサポートとは関係がない。リストの目的は、新規に販売されるWindows 11搭載PCに推奨されるプロセッサを示すことであり、過去のチップを排除する意図はない。Microsoftの公式ドキュメントには、「OEMは新しいデバイスに推奨プロセッサを使用する必要がある」と明記されている。
実際、過去のWindows 11 22H2や23H2の対応プロセッサリストでも、同様の動きが見られた。新しい世代のCPUがリストに加わると、古い世代のCPUはOEM向けリストから姿を消している。これは単に「最新のデバイス設計における推奨事項の更新」に過ぎず、OSの利用可否を決定するものではない。
Windows 11のハードウェア要件は今後も維持されるのか
MicrosoftはWindows 11の公式要件について「2021年の発表以来、変更されていない」と強調している。そのため、Intelの第8世代以降のプロセッサを搭載したPCは、Windows 11の要件を引き続き満たしていると考えられる。しかし、一部の新機能は、より高度なハードウェアを必要とする場合がある。
例えば、Windows 11 24H2では、Copilot+ PC向けのAI機能が強化される予定であり、これらをフルに活用するにはNPU（Neural Processing Unit）が必須とされる。しかし、NPUを持たないPCでも、通常のWindows 11機能は利用できるため、サポート終了を懸念する必要はない。
また、Microsoftは将来的なWindows 11のアップデートにおいて、セキュリティ要件や機能面の変更を加える可能性がある。特にTPM 2.0（Trusted Platform Module）やSecure Bootの要件は厳格化される傾向にあるため、最新のアップデートを適用し続けるためには、これらのセキュリティ機能が有効になっていることが求められる。
今後のWindows 11運用でユーザーが意識すべきポイント
今後もWindows 11を問題なく利用するために、ユーザーが意識すべき点がいくつかある。まず、OEM向けのリストではなく、Microsoftの「PC正常性チェック」アプリを活用することが重要だ。このツールを使えば、自分のPCがWindows 11の要件を満たしているかどうかを簡単に確認できる。
また、Windows 11 24H2が正式リリースされた際には、インストール時の互換性チェックを確認することが推奨される。Microsoftが公式に提供するアップデートであれば、ハードウェア要件を満たす限り、問題なく適用できるはずだ。ただし、OEMのカスタマイズによって一部のPCではファームウェアの更新が必要になる可能性もあるため、メーカーのサポート情報も併せてチェックするとよい。
さらに、NPU搭載PCが今後の標準になっていく可能性も考慮すべきだ。現時点では必須ではないものの、Windows 11のAI機能が今後さらに拡充されると、NPUを持たないPCでは一部の機能が制限されることも考えられる。次にPCを買い替える際には、最新のハードウェア要件に対応したモデルを選ぶことで、より長く快適にWindows 11を活用できるだろう。
Source：Windows Latest