MSIは、Intelの最新マイクロコード0x116をZ890およびB860マザーボード向けに含むBIOSアップデートをリリースした。この新しいパッチにより、特定の非K型Core Ultra 200Sプロセッサーの信頼性向上やメモリの互換性強化が期待される。
過去のマイクロコードではゲーム性能の向上が十分に達成されなかったが、Intelは引き続き改善に取り組んでいるようだ。MSIは今回のアップデートによってオーバークロック性能の向上も見込めるとしており、すでに複数の対応マザーボードで適用可能となっている。
すべてのMSI Z890およびB860モデルがすぐにアップデートできるわけではないが、今後のテストでさらなる最適化が進められる可能性がある。新たなマイクロコードがどの程度のパフォーマンス向上をもたらすのか、引き続き注目したい。
新マイクロコード0x116の特徴と影響範囲
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MSIが提供する最新のBIOSアップデートには、Intelの新しいマイクロコード0x116が含まれており、特にZ890およびB860マザーボード向けの最適化が施されている。このアップデートにより、非K型のCore Ultra 200Sプロセッサーの安定性向上やメモリの互換性強化が期待される。
過去のBIOSアップデートでは、Intelが目標としていたパフォーマンス向上が完全には実現されていなかった。特に、ゲーム向けに最適化されたはずのCore Ultra 200Sシリーズは、従来のハイエンドモデルと比較して性能面での伸びが十分ではないとの指摘があった。そのため、今回のマイクロコード0x116は、これまでの不足を補う施策の一環と見られる。
しかし、全てのMSI製Z890およびB860マザーボードがこのアップデートに対応するわけではなく、現在は一部モデルでのみ適用が可能となっている。これは、マイクロコードの動作検証が続いているためと考えられ、今後の追加対応が期待される。マザーボードによっては、今後のBIOS更新で0x116が適用される可能性があるため、MSIの正式な発表を待つべきだろう。
オーバークロック性能の向上は実現されるのか
MSIは、新BIOSアップデートによってオーバークロック性能の向上を主張している。しかし、今回のマイクロコード0x116は非K型CPUに焦点を当てており、本格的なオーバークロックが可能なK型モデルと同様の自由度を得るわけではないと考えられる。
非K型モデルは倍率ロックが施されているため、大幅なクロックアップは困難とされてきた。だが、BIOS側の最適化によってBCLK(ベースクロック)の微調整が可能になれば、一定のパフォーマンス向上が期待できるかもしれない。特に、メモリの安定性が向上すれば、動作クロックの引き上げによる恩恵を受ける場面も出てくる可能性がある。
ただし、過去のマイクロコードアップデートでは、オーバークロックの制約が追加されたケースもあった。例えば、以前のBIOSアップデートでは、一部のCPUで高負荷時の挙動が変更され、意図しないパフォーマンス低下が発生した例も報告されている。今回のアップデートが本当にオーバークロック性能を向上させるのか、それとも安定性を重視した制限が加わるのかは、さらなる検証が必要だろう。
マイクロコード0x116による実際のパフォーマンス改善の可能性
Intelはこれまでにもマイクロコードアップデートを繰り返し提供してきたが、それらの多くは安定性向上やバグ修正に重点が置かれていた。今回の0x116に関しても、リリースノート上では「信頼性向上」と「メモリ互換性の改善」が主なポイントとして挙げられており、大幅な性能向上が保証されているわけではない。
特に、前回のMicrocode 0x114ではゲーム性能の向上が期待されたものの、実際には多くのベンチマークで顕著な差が見られなかったという経緯がある。今回の0x116がそれをどの程度改善できるのかは、ユーザーによる実際のテスト結果を待つ必要がある。
また、マイクロコードの変更はCPUの挙動に直接影響を与えるため、意図しない副作用が発生する可能性もある。過去には、特定のBIOSアップデート後に一部のメモリモジュールとの互換性が低下したケースも報告されている。今回の0x116がポジティブな変化をもたらすかどうかは、MSIおよびユーザーのフィードバック次第といえるだろう。
このアップデートを適用すべきかどうかは、マザーボードの対応状況や現在の安定性を考慮しつつ慎重に判断するのが望ましい。特に、オーバークロックやゲーム用途での影響を重視する場合、先行ユーザーのレビューを確認してから適用する方が賢明かもしれない。
Source:Wccftech