Microsoftは、Windows 11の「位置情報履歴」機能を廃止し、デバイス上に位置データを保存しない方針を発表した。これにより、位置情報が有効な場合でも、過去24時間の位置データがローカルに保存されなくなる。

この変更は、バッテリーやメモリの節約を目的としており、設定画面の「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報」から関連する設定項目も削除される予定である。なお、位置情報サービス自体は引き続き利用可能であり、必要に応じて手動で無効にすることもできる。

位置情報履歴の廃止で変わるWindows 11のプライバシー設定

MicrosoftがWindows 11の「位置情報履歴」機能を廃止したことで、ユーザーのプライバシー設定にいくつかの変化が生じる。この変更により、位置情報の保存に関する設定が「プライバシーとセキュリティ」メニューから削除され、ローカルにデータが残らなくなる。ただし、位置情報自体はこれまで通り取得されるため、リアルタイムでの位置情報を利用するアプリには影響がない。

設定の変更点を確認するためには、Windows 11の「設定」アプリを開き、「プライバシーとセキュリティ」→「位置情報」にアクセスする必要がある。従来、この画面には「位置情報履歴を削除」するオプションがあったが、廃止後はこの項目が消え、管理できるデータの範囲が縮小している。

また、これに伴い、Cortanaが過去24時間の位置データにアクセスするAPIも削除されており、同アシスタントの機能にも影響が出る可能性がある。

この変更によって、端末に残る位置情報データはなくなるものの、Microsoftがどのような形で位置情報を管理するのかは明示されていない。クラウド上での処理が強化される可能性もあるが、具体的な運用方法については言及がないため、ユーザーは引き続き位置情報サービスの設定を慎重に見直すことが求められる。

メモ帳のデータ収集問題との関連性はあるのか

今回の「位置情報履歴」廃止が注目されるのは、Microsoftのデータ収集に関する懸念が強まっているためでもある。最近、メモ帳(Notepad)アプリがMicrosoftアカウントにログインするとクラウドにデータを送信していることが発覚し、ユーザーから不安の声が上がった。この件を受けて、「位置情報履歴の削除も同様のデータ処理の一環ではないか?」という疑念が生まれている。

Microsoftは今回の変更について「バッテリーとメモリの節約」を主な理由として挙げているが、それだけではなく、クラウドベースのサービスにシフトする意図もあるのではないかと考えられる。実際、Windows 11ではMicrosoftアカウントと紐づけられたサービスが増え、ローカルで完結する設定が減少している傾向が見られる。

とはいえ、現時点では「位置情報履歴」機能の削除が即座にクラウドデータ収集の強化につながる証拠はない。ただし、メモ帳の件をきっかけに、Microsoftがどのようなデータをどこに保存しているのかについて、透明性を求める声が今後も高まる可能性はある。Windowsの設定変更は頻繁に行われるため、今後のアップデートにも注意を払う必要がある。

位置情報サービスの管理方法とユーザーが取るべき対策

「位置情報履歴」が削除されたとはいえ、位置情報サービス自体は依然としてWindows 11に搭載されている。従って、完全に位置情報の追跡を防ぎたい場合は、手動で設定を変更する必要がある。最も確実な方法は、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「位置情報」にアクセスし、「位置情報の利用」を無効にすることだ。これにより、アプリやシステムが位置情報を取得するのを制限できる。

また、位置情報を一時的に利用する場合は、必要なときだけオンにするのが有効だ。例えば、地図アプリや天気予報アプリを使う際にのみ有効にし、利用後はオフにすることで、不要なデータ収集を最小限に抑えられる。さらに、位置情報を使用するアプリの一覧を確認し、不必要なものはアクセスを制限することも重要である。

Microsoftは、位置情報データの管理をユーザー自身に委ねる形を取っているが、設定の変更に気づかないユーザーも多い。したがって、Windows 11の設定メニューを定期的にチェックし、必要に応じてプライバシー設定を調整することが、個人情報を守る上で欠かせない。今後もシステムアップデートの内容を注視し、より安全な使い方を模索していく必要がある。

Source:Windows Report