ASUSが、AMDの最新APU「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」を搭載した新型NUC(Next Unit of Computing)ミニPCを開発しているとの情報が浮上している。このNUCは、16コア32スレッドのZen 5 CPUと、40基のRDNA 3.5ベースのGPUコアを備えたRadeon 8060Sグラフィックスを搭載し、最大128GBのLPDDR5Xメモリに対応する。
インド標準局(BIS)の認証リストに「NUC14LNS」として掲載されており、NUC 14シリーズの一部であることが示唆されている。これまでのNUCシリーズはIntel製CPUを採用してきたが、今回の動きはASUSがAMDの最新技術を取り入れる大きな転換点となる可能性がある。
この新型NUCの登場により、コンパクトなフォームファクターで高性能な計算能力とグラフィックス性能を求めるユーザーにとって、新たな選択肢が提供されることが期待される。
AMD Ryzen AI Max+ 395「Strix Halo」APUの特徴と従来モデルとの違い
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AMDのRyzen AI Max+ 395「Strix Halo」APUは、Zen 5アーキテクチャを採用した最新のプロセッサであり、高いパフォーマンスとAI処理能力を備えている。最大16コア32スレッドのCPUに加え、80MBのキャッシュとRDNA 3.5ベースの40CU GPUを搭載し、AMDのStrix Point APUと比較してGPUコア数が2倍以上に増加している。
特に、50 TOPSのAIワークロード性能を発揮するNPU(Neural Processing Unit)を内蔵しており、AIを活用したアプリケーションや高速な推論処理が可能になる。
従来のStrix Point APUと比較すると、Strix Haloは特にGPU性能の向上が顕著である。これまでのAPUはCPUとGPUのバランスを重視していたが、Strix HaloではRDNA 3.5アーキテクチャを採用した強力な統合GPUを搭載することで、より高度なグラフィック処理やゲームプレイが可能となる。これにより、NUCのような小型PCでも高品質な映像処理やクリエイティブ作業を快適にこなせる可能性が高まる。
また、このAPUは高帯域幅なLPDDR5Xメモリを採用し、256ビットのメモリインターフェースによって高速なデータ転送を実現する。一方で、従来のSO-DIMMスロットが排除されており、メモリの増設は不可能になっている。しかし、最大128GBのメモリ搭載が可能であり、多くの用途で十分な容量を確保できる。これにより、コンパクトなNUCでも高負荷な作業をスムーズに処理できる環境が整うことになる。
ASUSによるAMD APU採用の背景とその影響
これまで、ASUSのNUCシリーズは主にIntel製プロセッサを採用してきた。しかし、今回のStrix Halo APU搭載モデルの開発が事実であれば、AMDの新世代APUを採用する大きな転換点となる。
現在、ASUSのNUC 15シリーズにはIntel Core Ultra 9 285H「Arrow Lake」CPUとGeForce RTX 5080 GPUを搭載したモデルが存在し、NUC 15 PRO+およびNUC 15 PROにもIntel製のArrow Lake-Hプロセッサが採用されている。この状況を考慮すると、ASUSがAMDのZen 5ベースのAPUを採用することは、従来の方針とは異なる新たな展開といえる。
その背景には、Strix Halo APUの特性が影響していると考えられる。従来のNUCでは、Intel CPUと外部GPUを組み合わせることで高性能を実現していたが、Strix Halo APUは高いGPU性能とAI処理能力を統合することで、外部GPUに依存せずに優れたパフォーマンスを発揮できる可能性がある。
特に、RDNA 3.5ベースの40CU GPUを搭載しているため、外部GPUなしでも高品質なゲームプレイやグラフィック処理が期待される。
また、AI処理能力の強化も重要なポイントだ。Copilot+システム向けのNPUが50 TOPSの処理能力を持つことで、クリエイティブツールやAI支援機能を活用したアプリケーションにおいても優位性を持つ。これにより、NUCの用途がさらに広がることが考えられる。
ASUSがこのタイミングでAMDのStrix Halo APUを採用する理由は、単なるCPU性能の向上だけでなく、より高度なAIワークロードへの対応を見据えた動きといえるだろう。
Strix Halo搭載NUCがもたらす可能性と今後の展望
Strix Halo APUを搭載したASUSの新型NUCは、コンパクトながら高い処理能力を持ち、ゲーミングやクリエイティブ作業、AIワークロードに最適な環境を提供できる可能性がある。
従来のNUCはビジネス用途や省スペースPCとしての需要が強かったが、Strix Halo APUの強力なGPU性能によって、よりパワフルな用途へとシフトすることが考えられる。特に、デスクトップクラスのGPU性能を持ちながら消費電力を抑えた設計が魅力となり、外部GPUなしでも高度な処理をこなせる点が注目される。
また、AIワークロードの処理能力が高いため、生成AIを活用したアプリケーションの開発環境や、クリエイティブなソフトウェアの最適化にも適している。
たとえば、画像や動画の編集、リアルタイムのAI推論処理など、プロフェッショナルな用途でも十分なパフォーマンスを発揮できる可能性がある。これは、従来のNUCがカバーしきれなかった市場へのアプローチとなり、新たなユーザー層を取り込むきっかけにもなり得る。
一方で、SO-DIMMスロットを排除した点や、LPDDR5Xメモリの固定仕様による拡張性の制限は、長期的な運用を考えるとデメリットとなる可能性もある。
しかし、高速メモリを標準搭載することで、メモリ帯域のボトルネックを解消し、システム全体のパフォーマンスを最大限引き出す設計になっていると考えられる。今後、ASUSがどのような仕様でこのNUCを正式発表するのか、詳細なスペックやベンチマーク結果が待たれる。
この新型NUCが市場に投入されれば、コンパクトなPCながらゲーミングやAI処理に特化した新たな選択肢として、多くのユーザーの関心を引くことになるだろう。ASUSの公式発表に注目が集まる中、Strix Halo APUの性能がどこまで実用的に活かされるのか、今後の動向が気になるところである。
Source:TweakTown