Lenovoは、最新の水冷技術『Neptune』の第6世代システムを発表した。ThinkSystem N1380 Neptuneは、100%の熱除去を実現し、特別な空調なしで100kW以上のサーバーラックを運用できる性能を誇る。この新技術は、NVIDIAの次世代AIプラットフォーム『Blackwell』と連携し、AIトレーニングやエンジニアリング設計のパフォーマンスを大幅に向上させる。
また、従来比40%の省エネを達成し、高性能なデータセンター運用を革新する。Lenovoは、規模を問わずあらゆる組織に対応したスケーラブルなAIソリューションを提供し、進化するAI時代に最適なIT基盤を構築することを目指している。
100%熱除去で次世代データセンターを再構築
LenovoのThinkSystem N1380 Neptuneは、従来のデータセンターの設計を根本から変革する技術である。このシステムは100%の熱除去を可能とするため、サーバー内部の各コンポーネントを従来の空冷方式ではなく水冷によって冷却する。
これにより、特別な空調設備を必要とせず、100kWを超える高密度なサーバーラックの安定した稼働が実現される。Neptuneは内部ファンを不要とするため、消費電力を最大40%削減することに成功している。また、システム内の水冷配管には航空宇宙グレードの接続技術を採用し、安全性とメンテナンス性も向上している。この設計により、長期間にわたって信頼性の高い運用が可能となる。
さらに、Neptuneは冷却された排熱を再利用することも視野に入れており、建物の暖房や冷水生成などへの応用が可能である。これにより、持続可能なデータセンターの実現に貢献し、運用コストの削減をもたらすだろう。
NVIDIAプラットフォームとの連携でAIとHPCを強化
Lenovoは、NVIDIAの最新プラットフォーム『Blackwell』と連携することで、AIや高性能計算(HPC)の分野においても大きな強化を図っている。ThinkSystem SC777 V4 Neptuneは、NVIDIAのAIモデルを高速にトレーニングし、データ処理やシミュレーションを効率的に進めるための強力なシステムである。
この連携により、Neptuneは10兆パラメータ規模のAIモデルにも対応し、リアルタイムでの推論処理を実現する。NVIDIAのQuantum-X800 InfiniBandやSpectrum-X800 Ethernetプラットフォームをサポートすることで、データ転送のパフォーマンスも最適化され、ネットワーク全体での遅延を最小限に抑えることが可能だ。
また、NeptuneはクラウドネイティブなAIプラットフォームであるNVIDIA AI Enterpriseにも対応している。これにより、組織はAIの開発から導入までを迅速に進めることができ、生成AIや音声認識といった最新のAI技術を実用化するための基盤を提供する。
従来の40%省エネ達成と高密度サーバーの未来像
Neptuneの革新的な設計は、消費電力の大幅な削減を可能とする。従来の空冷システムでは、多くの電力が冷却ファンの駆動に使われていたが、Neptuneは100%水冷を採用することでこの無駄を排除している。その結果、最大40%の省エネが実現され、持続可能なデータセンター運用を可能にしている。また、Neptuneは19インチラック標準規格に対応し、既存のデータセンターにも容易に導入できる拡張性を備えている。
13Uのコンパクトな筐体からフルラック、さらには大規模データセンターまで、さまざまな規模に対応できる設計が特徴だ。これにより、顧客は用途に応じた最適な構成を選択することができる。Neptuneのシステム内では、最大4つの15kW電力変換ステーションが動作し、48Vバスバーを通じて効率的に電力を供給する。この革新的な電力設計により、従来の分散電力供給システムに比べて効率が大幅に向上している。
世界規模の展開でAIの可能性を推進するLenovoの取り組み
Lenovoは、Neptuneを中心に据えたAI基盤を世界中の企業に提供することで、AIの普及を加速させている。特に、Lenovo TruScale GPUaaS(GPU as a Service)を活用することで、企業は必要なときにGPUリソースを柔軟に活用できる。これにより、AI導入の初期コストを抑え、スケーラブルな運用が可能になる。さらに、LenovoはAIを支援する包括的なサービスも提供している。
AIシステムの管理を支援するソリューションや、冷却システムの最適化をサポートするサービスを通じて、顧客の負担を軽減し、AI活用の効率を高める取り組みを行っている。Lenovoの最新技術は、単なるAIインフラの提供にとどまらず、AIを活用したイノベーションを実現するための基盤を整備することに焦点を当てている。これにより、あらゆる業界がAIの恩恵を享受できる環境を整え、企業の成長と持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。