AMDは2025年から2026年にかけて、ノートパソコン向けのRyzen CPUおよびRadeon GPUの新ラインアップを次々と発表する計画である。主要な製品には、メインストリーム市場向けに開発された「Krackan Point」や「Hawk Point」APUシリーズ、プロフェッショナルやゲームユーザー向けに設計された「Strix Halo」APUが含まれる。
また、16コアの「Fire Range」など、エンスージアスト向けのRyzenプラットフォームも注目される。これらの製品は、LPDDR5X-8000対応のメモリや最新のRDNA 3.5およびRDNA 4アーキテクチャによる高性能なグラフィックエンジンを搭載し、ゲーミングやワークステーション用途に最適化されている。AMDはこれらの革新を通じて、今後も市場での競争力を強化することを目指している。
Ryzen APU「Krackan Point」と「Hawk Point」の性能とその意味
AMDは2025年から2026年にかけて、ノートパソコン向けに「Krackan Point」と「Hawk Point」という2種類のRyzen APUシリーズを投入する予定である。「Krackan Point」はRyzen AI 300シリーズとして、4つのZen 5コアと4つのZen 5Cコアを搭載し、8コア16スレッドの構成を持つ。
このシリーズは最大8つのRDNA 3.5計算ユニットやLPDDR5X-8000メモリをサポートし、Copilot+の認証を受けたAI性能も有する点で注目される。一方、「Hawk Point」はリブランドされたRyzen 200シリーズとして8つのZen 4コアを持ち、16スレッドや16 TOPSのAI NPUを搭載するが、よりコストパフォーマンスを意識した製品とされる。
これらのRyzen APUの刷新は、AMDがエントリーレベルからミドルレンジに至る幅広い市場に向けて性能を向上させる意図を表しているといえる。ノートPC市場におけるAI処理能力の需要は年々高まっており、AI機能が豊富なAPUの導入はユーザーの多様なニーズに対応するための重要な戦略といえる。
特に、Copilot+認証の有無は、AMDのAI処理能力の範囲がどのレベルのユーザーを想定しているのかの指針となるであろう。両シリーズの投入は、これまで主に高性能PCに限られていたAI機能が、一般的なノートPCにも普及する一助となる可能性を秘めている。
Strix HaloとFire Rangeの先進性能が示すAMDの戦略
AMDが開発中の「Strix Halo」と「Fire Range」は、同社のハイエンド市場に向けた強力なCPU/APUとして期待される。特にStrix Haloは、Zen 5コアを最大16コア備え、さらに40のRDNA 3.5計算ユニットを搭載し、256ビットLPDDR5X-8000メモリコントローラーまでサポートする予定だ。
メディアのWccftechによると、この構成はコンテンツ制作やプロフェッショナルワークに最適化されており、重い処理も可能なため、クリエイターやエンスージアスト層に強く訴求する製品となる見込みである。
また、Fire RangeはRyzen 9 SKUに該当し、Zen 4アーキテクチャで最大16コアを搭載しており、DDR5-5600メモリのサポートによって高い処理能力を発揮する。このような高性能プロセッサの投入により、AMDはインテルやNVIDIAとの競争でさらに優位性を確保しようとする戦略が見て取れる。
これらのプロセッサは、ゲーミングや重たいアプリケーションが求める高い処理能力に応えるため、ハイエンド市場に対するAMDの本気度を示しているといえよう。Strix HaloとFire Rangeの登場により、ハイエンドユーザーがどのような反応を示すかが今後の注目ポイントである。
Radeon RX 8000シリーズとRDNA 4の革新がもたらすゲーミング体験の進化
2025年以降に投入されるRadeon RX 8000シリーズは、RDNA 4とRDNA 3.5アーキテクチャをベースにしたGPUであり、AMDのゲーミング体験のさらなる進化を約束する。このラインアップには、Strix Halo APUの統合グラフィックスや、エントリーレベル向けのNavi 33リフレッシュが含まれる見込みで、軽量なゲーミングノートPCからパフォーマンス重視の高性能モデルまで、多様なデバイスに搭載されることが予想される。
特にRDNA 4「Navi 4X」シリーズは、次世代のパフォーマンスセグメントをカバーし、エンスージアスト層におけるNVIDIAとの競争力強化が期待されている。しかし、ハイエンドのGPU市場ではNVIDIAが先行する可能性があるため、AMDの新ラインアップがどこまでインパクトを与えられるかは未知数である。AMDのGPU刷新は、価格競争力と性能の両立を目指しており、ゲーミングファンにとっても注目すべき展開である。