PlayStation 5 Proは、CPU性能のわずかな向上にとどまり、CPU依存型のゲームでは依然として限界が見られる。特に「Baldur’s Gate 3」の都市エリアでは、CPU負荷が高く、Proモデルでも安定したパフォーマンスを発揮することが難しいとされている。
また、ベースモデルと同様、4K 120Hz出力や8K解像度も制約され、次世代ゲーム機としてのフルスペックのパワーには疑問が残る。さらに、PS4ゲームに対する画質向上機能は機械学習によるアップスケーリングに依存しているが、アンチエイリアスの改善には限界があり、一部タイトルでは視覚的なグリッチやパフォーマンスの低下も報告されている。
CPU性能の限界が生むボトルネックと次世代機への期待
PlayStation 5 ProのCPUは、わずか10%の性能向上にとどまっており、Baldur’s Gate 3やCyberpunk 2077といった高負荷タイトルでその限界が浮き彫りとなっている。
Digital Foundryの分析によれば、CPU依存度の高いシーンではベースモデルと同様にフレームレートが安定せず、特に複雑な都市描写やエフェクトが密集する場面でパフォーマンスが低下する。これは旧世代のZen2アーキテクチャのCPUに起因し、最新のPC向けゲーム用CPUと比較すると、その性能差は否めない。
ミッドジェネレーションリフレッシュとして登場したPS5 Proが現行モデルの拡張を目指している以上、抜本的な性能向上が求められる。しかし、10%の向上が示すように、PS5 Proはあくまで現行技術を最大限活かすための中間的アップデートに過ぎず、真の次世代機には到達していない。
今後のゲームタイトルで要求されるCPU性能を踏まえれば、PS5 Proのような中間モデルの役割と限界が次世代のハードウェアにどのように引き継がれるかが注目されるだろう。
HDMI出力制限がもたらす4K・8Kの壁とその現状
PS5 Proは4K 120Hzおよび8K解像度出力に対応しているものの、HDMIコントローラーの制限により真の高解像度・高フレームレート体験には至っていない。8Kディスプレイや8K対応コンテンツが普及していない現状では、この制限は現時点で大きな問題とされていないが、将来においては新たな技術的障壁になる可能性がある。
また、最新のテレビやディスプレイ技術の進展によって、より高い解像度とリフレッシュレートが期待される中、PS5 ProのHDMI制約はそのパフォーマンスを最大限に引き出せない一因とも言えるだろう。
現行の8Kディスプレイ市場は限定的であるが、次世代のゲームコンソールや映像技術がさらなる進化を遂げたとき、PS5 Proのこうした制約が後手に回る可能性がある。未来に向けて、HDMI規格の進化と共に、コンソールの出力性能も追随する必要があるといえるだろう。
機械学習によるPS4ゲームのアップスケーリングとその限界
PS5 Proに搭載された「PS4画像改善機能」は、PS4向けゲームを1080pまでアップスケーリングし、ディテールを向上させる機械学習ベースのポストプロセス機能である。Digital Foundryの報告によれば、この機能は一定の視覚的改善をもたらすものの、アンチエイリアスの強化には対応しておらず、AA問題を抱えるゲームでは効果が限定的である。
加えて、一部のタイトルではこのアップスケーリング機能がパフォーマンスに影響を与え、視覚的なグリッチが生じるケースも見られる。
機械学習を活用したアップスケーリング技術は、将来的にさらなる改良の余地があり、PS4や初期のPS5タイトルに対する互換性の向上を図る一助となるだろう。しかし、現時点では万能ではなく、PS5 Proが目指す「次世代のための中間的プレビュー」という位置づけに留まっている。
今後、この技術が改良され、より多くのゲームが安定して視覚的改善を享受できるようになることが期待されるが、その進展は今後のハードウェアとソフトウェアの統合による技術革新にかかっている。