Nintendo 3DSでWindows 95を起動させるという、まさに「呪われた」試みが技術コミュニティで話題を呼んでいる。Nintendo 3DSのオンラインサポートが終了したことにより、ハッカーたちはこの携帯ゲーム機に新たな可能性を見出しているのだ。YouTuberのMetraByteは、この奇妙なプロジェクトを通して、手動でのコマンド入力やメモリ不足によるエラーなど、技術的な難題と格闘しながらもなんとか成功を収めた。
Nintendo 3DSに再び注目が集まる背景
Nintendo 3DSは、2011年に発売されて以降、世界中で人気を博した携帯ゲーム機である。しかし、2017年には生産が終了し、2023年にはオンラインサービスも終了となった。これにより、公式のサポートがほぼなくなった一方で、技術者やハッカーたちが独自の手法でこのデバイスに新たな可能性を見出している。
特に、ハッキングや改造を通じて、Nintendo 3DSの限られたハードウェアを使って、ゲーム以外の用途を試みる動きが活発化している。これまでにも、エミュレーターの導入やオリジナルゲームの開発などが注目されてきたが、今回はさらに踏み込んだ試みとして「Windows 95」のインストールが話題となっている。
このような試みは、技術的な限界を超えた挑戦として、技術愛好家やハッカーたちの間で大きな関心を集めている。
YouTuberが挑戦したWindows 95のインストール
今回の注目すべきプロジェクトは、YouTuberのMetraByteによるものだ。彼は自身のチャンネルで「馬鹿げたデバイスに馬鹿げたものを載せる」というコンセプトのもと、Nintendo 3DSにWindows 95をインストールする動画を公開した。
インストールには、DOSBoxという古いPC用ゲームを動作させるためのエミュレーターを3DSに移植し、それを使ってWindows 95を起動させた。操作はスタイラスとタッチスクリーンの仮想キーボードを用いるため、非常に煩雑で時間のかかる作業だった。コマンド入力や設定変更を経て、最終的にWindows 95のデスクトップ画面を表示させることに成功した。
しかし、ここまでの道のりは容易ではなく、何度もシステムが再起動したり、ブルースクリーンが発生したりと、トラブルが続いた。MetraByteはこれを「呪われた設定」と表現しており、視聴者にもその試みが異常なものであることを強調していた。
低スペックでの苦闘と不可解な動作
Windows 95が3DSで動作するとはいえ、その性能には多くの制約があった。まず、メモリの問題が深刻であり、インストールされたWindows 95にはわずか16MBのRAMしか割り当てられていなかった。Nintendo 3DSのスペック上、元々の256MBのRAMであっても、現代の標準的なOSやソフトウェアを動作させるには厳しい。
MetraByteはメモリ割り当てを増やそうと試みたが、32MBを超えるとすぐにシステムがクラッシュし、安定した動作は難しかった。また、MS Paintを開くのにさえ時間がかかり、描画を試みるとさらに動作が鈍化した。このような低スペックでの動作は、ユーザーにとっては実用的ではないものの、技術的な挑戦としては非常にユニークであった。
さらに、Abletonなどの音楽制作ソフトウェアをインストールしようとする試みも行われたが、動作は予想通りほとんど不可能であり、音楽制作には程遠い結果となった。
他のレトロOS愛好者向けの代替手段
MetraByteの挑戦は、技術的には注目に値するものの、実用性に欠ける。Windows 95を持ち運べるデバイスで動作させたいユーザーにとって、Nintendo 3DSは最適な選択肢ではないかもしれない。だが、レトロOSにノスタルジーを感じる愛好者にとっては、他にも手軽な代替手段が存在する。
例えば、Ayaneo Flip DSなどのハンドヘルドPCは、Windows 95などの古いOSを快適に動作させることができるデバイスとして注目されている。このような製品は、メモリやプロセッサが大幅に強化されており、Nintendo 3DSのような苦労をせずに、レトロOSを体験することができる。また、オリジナルのDOSマシンや古いノートPCを入手することも、レトロOSを楽しむための現実的な手段の一つである。
MetraByteのプロジェクトは一つの挑戦として評価されるべきだが、レトロOSを実際に使うことを目的とするなら、他の手段を検討する方が合理的である。