Dell Latitude 7455は、最新のQualcommプロセッサを搭載したモバイル向けビジネスノートPCである。14インチのコンパクトな筐体に、ハイエンドなSnapdragon X Elite X1E-80-100とコストパフォーマンスに優れたSnapdragon X Plus X1P-64-100の2つのモデルを提供する。

高解像度WQXGAディスプレイや堅牢なアルミ製のボディに加え、AI性能を強化するNPUも内蔵しており、AI支援ツールの利用も容易だ。しかし、ARMベースのWindowsマシンであるため、互換性の問題が一部で確認されている。ビジネス用途においては、長時間持続するバッテリーと優れた携帯性が強みだが、その新たな技術構成が市場でどのように受け入れられるかが注目される。

Snapdragon搭載による生産性の向上

Dell Latitude 7455の最大の特徴は、QualcommのSnapdragonプロセッサを採用した点にある。Snapdragon X Elite X1E-80-100モデルでは、8つの高性能コアと4つの高効率コアが搭載され、処理速度と省電力性能のバランスが取れている。一方、X Plus X1P-64-100モデルでは、高性能コアが2つ削減されているが、それでも日常業務には十分なパフォーマンスを発揮する。

また、両モデルともNPU(Neural Processing Unit)を搭載しており、AI処理が要求される作業において高速な処理が可能となる。MicrosoftのCopilot機能にも素早くアクセスできる専用キーを搭載しているため、AI支援による業務の効率化が期待される。さらに、ARMベースのアーキテクチャにより、従来のx86ベースのデバイスと比較して電力消費が抑えられており、モバイル用途に適した構成となっている。

ただし、ARMベースのWindowsであるため、特定のアプリケーションでの互換性に課題が見られる。特に古いソフトウェアや、一部のベンチマークツールは正常に動作しないケースも確認されている。このような制約がある一方で、新技術を取り入れたLatitude 7455は、未来のオフィス環境におけるスタンダードとなる可能性を秘めている。

設計とデザイン:ビジネスライクなアルミニウムボディ

Latitude 7455は、クラシックなビジネスノートPCのスタイルを踏襲しながら、アルミニウム製の筐体を採用することで高い耐久性と質感を実現している。14インチサイズで持ち運びが容易なうえ、薄型ベゼルによって視認性も向上している。ノートPCを90度以上開くと、本体のベースがわずかに持ち上がる仕組みになっており、冷却効率を高める工夫がされている。

ディスプレイ上部には、1080p対応のIRカメラを搭載し、プライバシーシャッターも完備。オンライン会議や顔認証ログインに対応し、ビジネスシーンでの利便性を向上させている。また、キーボードはバックライト付きで、長時間のタイピングでも疲れにくい設計が特徴だ。電源ボタンには指紋認証機能が組み込まれ、セキュリティ面でも優れたパフォーマンスを発揮する。

端子類も充実しており、USB4ポートが2つ、DisplayPort 2.1対応、Power Deliveryにも対応する。また、Wi-Fi 7やBluetooth 5.4をサポートすることで、最新の無線通信規格にも対応している。音響面では4スピーカーシステムを搭載し、小型ノートPCながらも満足できる音質を提供する点が魅力だ。

パフォーマンスとバッテリーの実力検証

Latitude 7455は、ARMベースのSnapdragon X Elite X1E-80-100の採用により、特にシングルコア性能でIntel Core Ultra 7と同等の結果を示す。高性能コアは最大4.00 GHz、効率コアは最大3.40 GHzで動作し、ビジネス用途の多くの作業をスムーズにこなすことができる。しかし、ベンチマークテストでは、一部のツールがARMアーキテクチャに対応していないため、互換性の課題も浮き彫りになった。

GPUはAdreno iGPUを搭載し、3DMarkテストでは旧世代のAAAゲームもプレイ可能な性能を示した。しかし、小型筐体でのゲームプレイは熱がこもりやすく、WASDキー周辺の温度は45度に達する場面も見られた。そのため、ゲーム用途にはあまり推奨されない。

バッテリー持続時間も優秀で、ビデオループテストでは約15時間(885分)を記録し、1日中充電を気にせず作業できる点が評価できる。シングルファンによる冷却機構は静音性が高いが、負荷がかかると稼働音が目立つ場合がある。

ARMアーキテクチャに伴う互換性の課題

Dell Latitude 7455は、最新のARMベースのWindowsを搭載することで省電力性能が高く、携帯性にも優れている。しかし、このARMアーキテクチャには互換性の問題が残されている。特に、従来のx86向けに開発されたアプリケーションの一部が正常に動作しないケースが確認されており、ビジネス利用においては注意が必要である。代表的な例として、Cinebench R23のような一般的なベンチマークツールは、最新の更新が適用されていない場合に動作しないことがある。

業務システムやサードパーティ製ソフトウェアを多用する環境では、事前に互換性を確認することが重要となるだろう。一方で、Microsoft 365やGoogle Chromeなど、多くの主要なソフトは既にARM版に最適化されているため、一般的な業務では問題なく使用できる。今後、ARMベースのデバイスが普及することで、より多くのソフトウェアが対応することが期待されるが、現時点では一部の制約が残っていることを理解しておく必要がある。それでも、省電力性能やバッテリー寿命の長さは、Latitude 7455をモバイル用途に