2024年10月17日、MicrosoftはWindows 11 Insider Preview Build 27729をCanary Channel向けにリリースした。今回のビルドには、Copilotキーの設定が追加され、新たなパーソナライズ機能が強化されている。また、既存のバグ修正やパフォーマンスの改善が施されたが、特定のGPUに関する不具合など、依然として残る既知の問題も報告されている。
Copilotキー設定の新機能
Windows 11 Insider Preview Build 27729では、Copilotキーの設定が新たに追加された。この機能により、ユーザーはMSIX形式で署名されたアプリをCopilotキーから起動できるようになり、セキュリティやプライバシーの要件を満たしたアプリケーションを簡単に利用することが可能となった。この設定は、「設定」→「個人用設定」→「テキスト入力」からアクセスできる。
従来のCopilotキーは、Copilotアプリがインストールされているデバイスでしか機能しなかったが、今回のアップデートにより、ユーザーが他のアプリを指定して起動できる選択肢が提供された。ただし、Copilotキーが搭載されていないキーボードを使用している場合、この設定を変更しても機能しない。また、今後のアップデートでさらなる改善が予定されており、ユーザー体験の向上が期待される。
この機能は、パーソナライズされた作業環境を整える上で重要な役割を果たすと考えられており、Windows Insiderプログラム参加者からのフィードバックをもとにさらに最適化される見込みである。
修正点とパフォーマンス向上
Build 27729では、いくつかの重要なバグ修正が行われており、システムの安定性とパフォーマンスが向上している。例えば、Microsoft Solitaireなどの一部のゲームが起動時にクラッシュする問題が解消された。また、ALT + Tabを使用した際に画面が一時的にブラックアウトする現象も修正された。
さらに、BitLockerに関する不具合が修正され、以前のビルドで一部のユーザーに発生していた暗号化機能の問題が解消されている。このような修正により、セキュリティの信頼性も向上していると言える。これに加え、Windows 11のウィンドウ管理機能や描画処理に関連する細かなバグも取り除かれており、全体的な使用感が改善された。
これらの修正は、日常的な使用におけるストレスを軽減するものであり、今後のビルドにおいてもさらなる改善が期待される。
既知の問題と影響範囲
一方で、Build 27729には依然としていくつかの既知の問題が残されている。特に、NVIDIAの古いGPUを使用しているPCでは、黒い画面が表示される、またはGPUが正しく機能しないといった問題が報告されている。この問題に直面しているユーザーは、Windows Recovery(WinRE)にて前のビルドに戻すことが推奨されており、Microsoftは現在修正に取り組んでいる。
さらに、Copilot+を搭載したPCで新たにCanary Channelに参加する場合、Windows Hello PINや生体認証機能が利用できなくなる問題も確認されている。この問題は、エラーコード「0xd0000225」とともに発生し、PINの再設定が必要となる。
加えて、特定の環境では、ページフォルトエラー(PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA)に起因するバグチェックが発生することがあり、Microsoftは引き続き調査を進めている。これらの既知の問題は、引き続きフィードバックを収集しながら修正が進められる予定である。
Snipping Toolの新機能「テーブルとしてコピー」
Snipping Toolには新たに「テーブルとしてコピー」機能が追加された。この機能は、スクリーンショット内のテーブルデータを認識し、メールやドキュメント、スプレッドシートにそのまま貼り付けることができるものである。従来の「画像からテキストをコピー」する機能に加え、より構造的なデータ処理が可能になった。
使用方法はシンプルで、テーブルを含むスクリーンショットを撮影し、「テキストアクション」を選択して「テーブルとしてコピー」を選ぶだけでよい。ただし、この機能は現時点では単一のテーブルを含むスクリーンショットに最適化されており、複数のテーブルが含まれる場合は精度が低下する可能性がある。
この新機能は、特にビジネスユーザーやデータを扱うプロフェッショナルにとって、作業の効率化に大いに役立つと期待されている。今後のバージョンアップにより、さらなる精度向上が見込まれる。