ASUS Vivobook S15 CoPilot+は、ARMベースのSnapdragon X Plusチップセットを搭載し、Windowsラップトップの新しい時代を切り開くモデルである。長期間のバッテリー寿命と高性能な処理能力を兼ね備え、日常の作業を円滑に進める一方、特定のアプリケーションにおける互換性の課題も残る。これにより、ARMベースWindows PCの未来を垣間見ることができるが、ユーザーのニーズに応じた選択が求められる。

ARMチップ搭載の新時代:Snapdragon X Plusの実力

ASUS Vivobook S15 CoPilot+は、QualcommのSnapdragon X Plusチップセットを搭載し、ARMベースのWindowsラップトップとして新たな地平を開いている。これにより、従来のx86アーキテクチャとは異なるアプローチが可能となり、AppleのMシリーズチップに匹敵する処理能力を提供している。このSnapdragon X Plusは、8つのコアを持ち、最大3.4GHzで動作する高性能チップであり、アプリケーションの切り替えや大容量ファイルの転送もスムーズに行える。

ARMチップの最大の魅力はその省電力性能であり、Vivobook S15もその恩恵を受けている。通常のビジネス用途ではバッテリーを一日中持たせることができ、加えてマルチタスク処理にも強い。Adobe Lightroomなどのクリエイティブソフトの使用においても、驚くべき速さで画像の編集やエクスポートが可能であり、x86ベースのPCに劣らない性能を発揮する。

ARMベースのラップトップはまだ対応アプリケーションが限られているものの、Vivobook S15は十分な汎用性を持っており、長時間の作業をこなすには最適なパートナーである。

ディスプレイとビルドクオリティの洗練

ASUS Vivobook S15 CoPilot+は、15.6インチの3K解像度ディスプレイを備え、120Hzのリフレッシュレートにより、驚くほど滑らかな映像体験を提供している。このディスプレイは600ニットの輝度を誇り、屋外での使用時にも視認性が高く、リフレクションによる見づらさを大幅に軽減している。映画やドラマを鑑賞する際にも、色彩の再現性が高く、黒の深みもあり、鮮やかな映像を楽しむことができる。

ビルドクオリティに関しては、アルミニウム合金を使用したしっかりとしたシャーシが特徴であり、ヒンジの強度も抜群である。一指で開閉できるほどの精密さを備えた設計は、日常の使用において信頼性を感じさせる。また、キーボードの打鍵感も優れており、快適なタイピングが可能だ。さらに、重量は約1.42kgと軽量で、持ち運びも容易である。

唯一の改善点としては、長時間使用した際に手首が痛くなることがあるシャープなエッジであり、次期モデルではこれを曲線的にデザインしてほしいところだ。

パフォーマンスとバッテリー寿命の実力検証

Vivobook S15 CoPilot+の最大の強みは、そのパフォーマンスと長時間持続するバッテリーにある。Snapdragon X Plusチップセットと16GBのLPDDR5X RAM、そして1TBのNVMe SSDにより、アプリケーションの起動やファイル転送は非常に速く、マルチタスクもスムーズに行える。これにより、ビジネスユースや軽いクリエイティブワークにも対応可能だ。

バッテリー寿命は特に優れており、通常の使用では13~15時間、ヘビーな作業でも11~12時間持つ。この性能は、70Whの大容量バッテリーによって実現されており、日常の使用で充電器を持ち歩く必要がないのは大きな利点だ。また、ARMチップの省電力性がここでも効果を発揮しており、MacBook Air M1などと比較しても遜色のない使用感を提供している。

このようなバッテリーとパフォーマンスのバランスは、持ち運びを前提とした外出先での作業にも最適であり、モバイルワーカーにとって非常に心強い存在だ。

コスパと対応アプリケーションにおける課題

Vivobook S15 CoPilot+はその性能を考慮すると非常に優れたラップトップであるが、価格に関してはもう少し競争力があっても良いと感じる。特に5,000〜10,000円程度価格が低ければ、さらに多くのユーザーに支持される可能性がある。ARMベースのWindowsラップトップとして、処理性能やバッテリー寿命では高い評価を受けるものの、現時点ではすべてのアプリケーションが対応しているわけではない。

特にAdobeのクリエイティブソフトウェアや特定のゲームタイトルなど、一部のソフトウェアはARMアーキテクチャに最適化されていないため、互換性の問題が発生することがある。この点に関しては、今後のソフトウェアの対応拡大が望まれるところであるが、現時点では注意が必要である。

ただし、Vivobook S15はAI機能を活用したCoPilot+機能や、多言語字幕生成などの機能も備えており、これがユーザーにとっての魅力の一つとなっている。