インテルは新たにXeon 6サーバプロセッサとGaudi 3 AIアクセラレータを正式に発表し、パフォーマンスの大幅な向上を主張している。Xeon 6は、128コアという高いコア数とAIアクセラレーション機能を搭載し、前世代モデルと比較して2倍の性能を実現。特にAI推論の処理が向上しており、AMDの競合製品に対しても圧倒的なベンチマーク結果を示している。

Xeon 6の大幅な性能向上:128コアとAI統合

インテルが発表したXeon 6プロセッサは、前世代に比べて大幅な性能向上を実現している。最も注目すべきは、最大128コアを搭載する点であり、これにより並列処理能力が飛躍的に強化された。インテルは、この新しいプロセッサが前世代の2倍の性能を発揮するとしている。加えて、Xeon 6はAI推論機能も内蔵しており、計算負荷の高いAIタスクにも対応可能だ。

この128コアの実現にはチップレット設計が用いられている。従来の単一シリコンではなく、複数の小さなチップを組み合わせることで製造の効率化を図っている。この設計により、インテルは高性能とコストパフォーマンスを両立させることに成功している。さらに、Xeon 6は新たなMRDIMMモジュールをサポートしており、メモリ帯域幅とレイテンシ性能が大幅に向上した。

AI推論機能が各コアに統合されている点も重要である。これにより、AIタスクは専用のアクセラレータを必要とせず、CPU上で効率的に処理できるようになった。これは特にエッジデバイスやクライアントPCにおけるAI処理に大きな利点をもたらす。インテルの新世代プロセッサは、AI推論を内蔵することで、競争力を大きく高めている。

Gaudi 3アクセラレータがもたらすAI処理の進化

インテルは新たにGaudi 3 AIアクセラレータを発表し、AI処理の能力を大幅に向上させている。Gaudi 3は、特にディープラーニングや高性能コンピューティング(HPC)向けに最適化されており、大規模なAIモデルのトレーニングや推論において従来以上のパフォーマンスを提供する。インテルは、これによりAI分野での競争力をさらに高めることを狙っている。

Gaudi 3は、AIファブリックと呼ばれる新しいネットワーキング技術を活用しており、これにより複数のアクセラレータ間での通信速度が飛躍的に向上した。この技術は、AIモデルの学習速度を大幅に短縮し、データセンターの効率化を図ることができる。さらに、Gaudi 3は従来のアクセラレータと比較して消費電力を抑えつつ、より高い計算能力を提供することができる。

特に大規模AIモデルにおいて、その性能は際立っている。7億パラメータを持つLlama 2チャットボットのトレーニングでは、Gaudi 3を使用することで従来のアクセラレータよりも3倍の速度で処理を行うことが可能となった。これにより、データセンターでのAI処理における時間とコストの削減が期待されている。

インテルとAMDの競争:新世代チップのパフォーマンス比較

インテルのXeon 6とGaudi 3は、それぞれの分野で革新的な性能を誇るが、その競争相手であるAMDも新たな世代のEPYCプロセッサを準備している。現行の96コアEPYC 9654は、市場で高評価を得ているものの、インテルのXeon 6972Pはこれを大幅に凌駕するベンチマーク結果を示している。特にLlama 2やBERTといったAIタスクにおいて、インテルのXeon 6972PはEPYCを大きく上回るパフォーマンスを発揮している。

Xeon 6972Pは、AI推論処理においてAMDの96コアEPYCよりも4.3倍の速度で処理を行い、前世代のXeonと比較しても2.2倍の速度向上を実現している。一方で、これらのベンチマークに用いられたEPYCプロセッサは2年前に発売されたものであり、AMDは近く新世代のプロセッサを発表する予定である。したがって、今後の市場ではインテルとAMDの競争が一層激化することが予想される。

この競争は単にパフォーマンスだけではなく、電力効率やコストにも影響を与える。インテルの新しいXeonプロセッサは優れた性能を提供するが、その代償として消費電力が増加している。次世代のEPYCプロセッサがこの点でどのような改善を見せるかが、今後の注目点となるだろう。

高性能と高消費電力のトレードオフ

Xeon 6プロセッサは確かに高い性能を提供するが、その代償として消費電力が大幅に増加している。特に、Xeon 6900Pシリーズの中でも、4つのプロセッサは500ワットのTDP(熱設計電力)を持ち、1つは400ワットを消費する。これに対し、前世代のXeonは最大TDPが350ワットであったため、明らかに電力効率が低下していることがわかる。

この消費電力の増加は、高性能コンピューティングやデータセンターにおけるエネルギーコストの上昇を引き起こす可能性がある。しかし、インテルはその性能向上により、コストパフォーマンスは依然として高いと主張している。特にAIや機械学習といった高負荷なタスクにおいて、Xeon 6はその能力を最大限に発揮するため、電力消費を上回る利点を提供している。

一方、競合他社のAMDは電力効率に優れたプロセッサの開発に注力しており、次世代EPYCプロセッサでこのトレードオフにどう応えるかが注目されている。Xeon 6が提供する圧倒的な性能と、電力消費のバランスをどう取るかは、今後のデータセンター設計において大きな課題となるだろう。