Intelは、Raptor Lakeプロセッサーの不安定性を引き起こしていた「Vmin Shift」問題に対処するため、新しいマイクロコード「0x12B」を発表した。対応するファームウェアアップデートが数週間かかると予想されていたが、主要なマザーボードメーカーが既にベータ版をリリースし始めている。ASUSやASRockなどのメーカーが、最初にZ790シリーズ向けにアップデートを提供し、他のモデルも順次対応していく予定だ。

IntelがRaptor Lakeプロセッサーの不具合修正を発表

IntelはRaptor Lakeプロセッサーにおける安定性問題を修正するため、最新のマイクロコード「0x12B」を公開した。この問題は、プロセッサーへの過剰な電圧供給により、システムの不安定性を引き起こすものであり、一部のユーザーから多数の不具合報告が寄せられていた。特に、13世代および14世代のCoreプロセッサーが影響を受けており、「Vmin Shift」と呼ばれる電圧管理の誤動作が原因とされている。

今回のアップデートにより、この「Vmin Shift」問題が修正され、過剰な電圧供給を防ぐことができるとされている。0x12Bマイクロコードは、既存の0x125および0x129コードの改良版であり、特にアイドル状態や軽負荷時に問題が発生していたプロセッサーの動作が安定することが期待されている。

しかし、既にVmin Shift不具合を経験したプロセッサーにはこのアップデートは効果がなく、これらのCPUはIntelの保証プログラムを通じて交換される必要がある。このため、影響を受けたユーザーは速やかに修理または交換を申請することが推奨される。今後、他のプロセッサーでもこのアップデートが利用可能になる予定であり、Intelは問題の根本的な解決を目指している。

主要マザーボードメーカーが新しいマイクロコードを導入

Intelの0x12Bマイクロコードの発表を受け、主要なマザーボードメーカーが対応を進めている。ASUS、ASRock、MSIなどのメーカーは、最新のBIOSやファームウェアにこのマイクロコードを組み込み、特にZ790シリーズのマザーボード向けにベータ版をリリースした。これにより、Raptor Lakeプロセッサーを搭載したシステムにおける安定性向上が期待されている。

ASUSは、Z790マザーボード向けに0x12Bマイクロコードを含む新しいBIOSバージョンを提供し、アイドル時や軽負荷時に発生する過剰な電圧供給の問題を解決しようとしている。また、ASRockも同様にZ790向けのファームウェアを公開しており、MSIも一部のモデルで同様の対応を進めている。

ただし、B760やZ690チップセットを搭載したマザーボード向けには、まだ0x12Bアップデートが提供されていない。これらのモデルでは、依然として旧バージョンの0x129マイクロコードが使用されているため、さらなる改善が待たれている。メーカー側は、上位モデルでのテストが終了次第、順次他のモデルにもアップデートを適用していく予定である。

0x12Bアップデートの適用範囲と今後の展開

現在、Intelの0x12Bマイクロコードは、主にZ790シリーズのマザーボード向けに提供されているが、今後は他のモデルにも拡大される見通しである。ASUSやASRockは既にZ790向けのベータ版をリリースしており、MSIも一部のZ790モデルで対応を進めている。これにより、Raptor Lakeプロセッサーを搭載したシステムにおける電圧管理の不具合が修正され、安定した動作が期待されている。

しかし、B760やZ690などのマザーボードには、まだ0x12Bの適用が行われていない。これらのモデルでは、引き続き旧バージョンのマイクロコード(0x129)が使用されており、完全な安定性の改善には至っていない。各メーカーは、Z790モデルでのテスト結果をもとに、他のチップセットにも同様のアップデートを段階的に展開していく予定だ。

今後の展開としては、マイクロコードの精査が進む中で、さらに多くのモデルが0x12Bに対応する見通しである。特に、B760やZ690のようなミドルレンジのモデルにも適用されることで、より幅広いユーザーがこの修正による恩恵を受けられるようになるだろう。

問題のあるCPUは保証プログラムで対応

Vmin Shift問題により影響を受けたRaptor Lakeプロセッサーは、Intelの保証プログラムによって対応されている。すでにこの不具合が発生しているプロセッサーに対しては、ファームウェアアップデートだけでは問題を解決することができないため、保証プログラムを通じて交換が必要となる。このため、問題が発生しているユーザーは速やかに交換手続きを行うことが推奨されている。

Intelの保証プログラムでは、Vmin Shift不具合によりシステムが不安定になったプロセッサーが無償で交換される。特に、すでに過剰な電圧によって損傷を受けたCPUに対しては、このプログラムが唯一の救済手段となる。また、保証の対象となる条件は明確に定められており、対象となるユーザーには適切な対応が求められている。

保証プログラムは、影響を受けたすべての13世代および14世代Coreプロセッサーユーザーに適用される予定であり、今後も問題が報告され次第、さらに多くのユーザーがこのプログラムを利用することが期待される。Intelは、問題の早期解決とユーザーサポートに注力しており、今後も引き続き対応を進めていく方針だ。