Microsoftは、Appleの「Handoff」機能に似た「Hand Off」という新機能をWindows 11に導入した。
この機能は、モバイルデバイスで行っていた作業をWindows PCに引き継ぐことを可能にする。
現在、この機能はWindows 11 Insider Preview Buildでテスト中であり、今後の正式リリースが期待されている。

Windows 11に「Hand Off」機能が登場

Microsoftは、Appleの「Handoff」機能に類似した「Hand Off」という新機能をWindows 11に導入した。この機能は、モバイルデバイスで行っていた作業をそのままWindows PCに引き継ぐことができるというものだ。ユーザーは、スマートフォンで見ていたウェブサイトや使用していたアプリを、PCに簡単に転送して続行することが可能になる。

この「Hand Off」機能は、現在Windows 11のInsider Preview Build 22635.4225でテスト中であり、特定のユーザーにのみ提供されている。X(旧Twitter)のユーザーである@techosaurusrexが最初にこの機能を発見し、設定画面に「Hand Off」機能のトグルスイッチが追加されていることを報告した。現時点ではテスト段階だが、正式リリースに向けて多くの期待が寄せられている。

「Hand Off」の主な目的は、デバイス間の作業のシームレスな移行を実現することであり、ユーザーが複数のデバイスを効率的に活用できるようになることだ。この機能により、Windows 11のユーザーエクスペリエンスはさらに向上すると考えられる。

AppleのHandoffとの比較

「Hand Off」は、Appleの「Handoff」との類似性が指摘されている。AppleのHandoffは、ユーザーがiPhoneやiPadで行っている作業を、そのままMacに引き継ぐことができる機能であり、これによりApple製デバイス間での作業の継続が非常にスムーズになる。この機能は、ユーザーがウェブブラウジングやドキュメント作成などを途切れなく行える点で高く評価されている。

一方、Microsoftの「Hand Off」も、同様の作業継続機能を提供するが、Appleとは異なり、Androidデバイスにも対応している点が大きな違いである。これにより、Appleデバイスに限定されていないWindows 11ユーザーは、AndroidデバイスとPCの間で作業をシームレスに引き継ぐことができる。さらに、iPhoneとWindows PCの間でも同様の操作が可能になる予定であり、この点でAppleのエコシステムを超える可能性がある。

ただし、現在テスト中の「Hand Off」がAppleのHandoffと同程度の直感的な操作性を提供できるかどうかは、今後の評価にかかっている。

過去の同期機能からの進化

Microsoftはこれまでも、デバイス間での同期機能に取り組んできた。例えば、OneDriveの「Continue from Phone」機能では、PCとスマートフォン間でOneDriveファイルの操作を同期することができる機能があった。また、「Link to Windows」アプリでは、iPhoneとWindows PCの間で通知や連絡先の共有が可能となっていた。

しかし、これらの機能はいずれも限定的であり、AppleのHandoffほど直感的かつスムーズな体験を提供するには至っていなかった。「Link to Windows」アプリにおいても、通知や簡単なデータの共有にとどまり、作業そのものをシームレスに移行できるというわけではなかった。

今回発表された「Hand Off」機能は、こうした過去の試みを進化させたものであり、より多くのデバイス間でのシームレスな作業継続を可能にする。この機能は、特にモバイルデバイスとPCの間で頻繁に作業を行うビジネスユーザーやクリエイターにとって、大きな利便性を提供することが期待される。

Windows 11のユーザー体験に与える影響

「Hand Off」機能の導入により、Windows 11はユーザー体験に大きな進化をもたらすと考えられる。この機能は、モバイルデバイスとPCの間での作業継続を容易にすることで、複数のデバイスを使用する現代の働き方に対応している。特に、オフィスでのPC作業から外出先でのモバイルデバイス作業へのスムーズな移行が求められる場面で、この機能は大きな価値を持つだろう。

また、iPhoneだけでなくAndroidデバイスにも対応している点で、Windows 11はより幅広いユーザー層に対応できるようになる。これにより、Appleのエコシステムに依存しない柔軟なデバイス間連携が可能となり、ユーザーは自身の使用環境に合わせた効率的な作業を行うことができる。

今後、正式リリースに向けて「Hand Off」の使い勝手や安定性がどこまで向上するかが注目される。もし成功すれば、Windows 11はモバイルデバイスとPCを連携させるための強力なプラットフォームとなり得る。