Lenovo ThinkBook Plus Gen 5 Hybridは、WindowsラップトップとAndroidタブレットを一体化したユニークなハイブリッドデバイスである。14インチのOLEDディスプレイを共有し、片方はIntel Core Ultra 7を搭載したWindowsマシン、もう片方はQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1を採用したAndroidタブレットという構成だ。

このデバイスは、ビジネスユーザーやクリエイターに向けて、柔軟な作業環境を提供することを目指している。しかし、独特な機構ゆえにいくつかの問題も抱えており、完全な評価を下すには改善が必要である。

Windowsラップトップとしてのパフォーマンス

Lenovo ThinkBook Plus Gen 5 Hybridは、Windowsラップトップとして非常に優れた性能を発揮する。Intel Core Ultra 7 155Hプロセッサと32GBのRAMを搭載し、1TBのSSDストレージを備えているため、ビジネス用途からクリエイティブな作業まで幅広く対応できる。そのため、処理速度やマルチタスク性能においても十分なパフォーマンスを提供している。

また、14インチの2.8K OLEDディスプレイを採用しており、鮮明で豊かな色彩を提供する点も特徴だ。このディスプレイは、テキストの読みやすさや動画視聴、グラフィックデザインにおいても高い評価を得ている。しかし、重量は約1.73kgとやや重めで、携帯性には一部の制約がある点がデメリットといえる。

さらに、キーボードの操作性も非常に優れており、大きめのキーキャップとしっかりした打鍵感が特徴である。長時間のタイピングでも快適に使用できるため、ビジネスユーザーには特に魅力的な機能だ。全体として、Windowsラップトップとしての基本性能は非常に高く、特にパフォーマンス重視のユーザーには適した選択肢である。

Androidタブレットとしての使い勝手

ThinkBook Plus Gen 5 Hybridは、Androidタブレットとしても十分に機能するデバイスである。14インチのOLEDディスプレイは、解像度が2880×1620ピクセルと非常に高く、鮮明な画面でアプリケーションや動画を楽しむことができる。Snapdragon 8+ Gen 1プロセッサを搭載し、12GBのRAMと256GBのUFSストレージにより、多くのタブレットアプリケーションをスムーズに処理できる。

Android 13をベースとしたZUI 15は、使い勝手が非常に良く、スムーズな操作感が印象的だ。アプリの起動やマルチタスクも快適に行えるため、日常的な使用には申し分ない。しかし、タブレットとしての重量が約2.14kgと比較的重く、長時間持ち運ぶには不向きな側面もある。さらに、画面が大きいため、手持ちでの操作には少し負担がかかることも考慮すべきだろう。

とはいえ、大画面OLEDディスプレイでの動画視聴やコンテンツ制作には最適であり、特にビジュアルにこだわるユーザーにとっては大きな魅力がある。

ハイブリッド機能の利便性と課題

ThinkBook Plus Gen 5 Hybridの最大の特徴は、WindowsラップトップとAndroidタブレットの両方を一つのデバイスで実現している点にある。このハイブリッド機能は、一つのデバイスで異なるOSを同時に使い分けることができ、WindowsとAndroidの間でファイル共有を行う「ハイブリッドフォルダー」など、便利な機能が搭載されている。さらに、「ハイブリッドストリーム」機能により、Windows上でAndroidを同時に操作することも可能だ。

しかし、このハイブリッド機能にはまだいくつかの課題が残っている。特に、Androidタブレット部分を取り外したり再接続する際、接続がスムーズに行われないことがあり、OSの切り替えがスムーズでない場合がある。また、Windowsモードで起動しないことがあるなど、ソフトウェアの安定性には改善の余地がある。

これらの問題点を克服すれば、このデバイスはさらに使い勝手の良いツールとなるだろう。現在のところ、ハイブリッド機能は非常にユニークであり、特定のユーザー層には非常に魅力的だが、万人にとっての最適解とは言い難い。

総合評価:このユニークなデバイスは本当に価値があるか

ThinkBook Plus Gen 5 Hybridは、斬新なアイデアと高いパフォーマンスを兼ね備えたデバイスであるが、その価格帯(約3,800ドル)を考慮すると、購入をためらうユーザーも少なくないだろう。2台のデバイスを一つにまとめることで利便性は向上するが、その分コストがかかるため、コストパフォーマンスに優れているとは言い難い。

一方で、WindowsとAndroidを一つのデバイスでシームレスに使い分けたいユーザーにとっては、このハイブリッドデバイスは非常に魅力的な選択肢となる。特に、ビジネスで両OSを必要とする場合や、出張時に複数のデバイスを持ち運ぶのを避けたいユーザーには最適だ。

結論として、ThinkBook Plus Gen 5 Hybridはユニークな製品であり、その独特な機能は特定のニーズを持つユーザーには非常に有用だ。しかし、その高価格といくつかの使い勝手の問題から、現時点ではすべてのユーザーに推奨できる製品とは言い難い。次世代モデルに期待したいところである。