ASUSは、最新の外付けGPU(eGPU)「ROG XG 2025」の正式な発売日を発表した。本製品はGeForce RTX 5090(24GB)またはRTX 5070 Tiを搭載したモデルが用意され、最新の接続規格Thunderbolt 5に対応する。発売日は2月25日で、これはNVIDIAのRTX 50シリーズラップトップ向けGPUの予約開始日と一致している。
Thunderbolt 5の導入により、従来のThunderbolt 3/4(最大40Gbps)に比べ、帯域幅が最大80Gbps(双方向)へと拡張される。これにより、外部GPU利用時の性能ロスが大幅に減少し、モバイル環境でもハイエンドなゲーミングやクリエイティブ作業が可能となる。一方で、現時点でThunderbolt 5に対応するノートPCは少なく、ROG XG 2025は市場で最も先進的なeGPUの1つとなる見込みだ。
本製品は高性能な冷却システムを搭載し、従来のROG XG Mobileシリーズからさらに静音性と放熱効率が向上している。ポート類も充実しており、USB Type-A、HDMI 2.1、DisplayPort 2.1、5Gイーサネットポートなどを備える。また、単一のケーブルでノートPCの充電が可能となっており、利便性も高い。
価格はRTX 5070 Ti搭載モデルが1,999ドル(約30万円)と発表されているが、RTX 5090モデルの価格は未定。ただし、過去の価格設定を考慮すると、かなりの高額になることが予想される。
ROG XG 2025が変えるeGPUの未来 Thunderbolt 5との相乗効果とは
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ASUSのROG XG 2025は、最新のThunderbolt 5を採用したことで、これまでのeGPUの制限を大きく超える可能性を秘めている。これまでのThunderbolt 3や4では、帯域幅が最大40Gbpsに制限されていたため、高性能GPUのデータ転送においてボトルネックが発生していた。しかし、Thunderbolt 5は最大80Gbps(双方向)に対応し、理論上はデスクトップPC並みのパフォーマンスを発揮できる環境が整う。
この変化は、ゲーミングノートやクリエイティブ用途のラップトップにとって特に重要だ。これまでのeGPUは、内部GPUと比較して帯域幅の制限によるパフォーマンス低下が問題とされていたが、Thunderbolt 5によりこの問題が大幅に軽減される可能性がある。特に、最新のRTX 5090 Laptop GPUを搭載したROG XG 2025は、デスクトップ用RTX 5090に匹敵する性能を発揮できるかが注目される。
ただし、現時点でThunderbolt 5対応のノートPCは限られており、ROG XG 2025の性能を最大限に引き出せる環境が整うには時間がかかるかもしれない。また、eGPUが持つ構造上の制約として、PCIeのレーン数やドライバの最適化といった問題も依然として存在する。こうした課題を解決しながら、Thunderbolt 5とeGPUの組み合わせが今後の標準となるかどうかは、今後の展開次第といえる。
ROG XG 2025の冷却システムがもたらす静音性と性能の向上
ASUSはROG XG 2025で、従来モデルから冷却性能を大幅に向上させている。特に、ベイパーチャンバーとダストフィルターを搭載した新しい冷却システムは、放熱面積を54%拡大し、熱効率の向上と静音性の強化を実現した。これは、ハイエンドなGeForce RTX 5090を搭載する上で不可欠な改良であり、安定したパフォーマンスを長時間維持するための重要な要素となる。
従来のeGPUでは、長時間の高負荷使用時に発熱が問題となり、パフォーマンスの低下やファンノイズの増大が避けられなかった。特に、ラップトップと接続するeGPUでは、デスクトップPCに比べて冷却性能が劣るため、GPUの性能を引き出しきれないケースもあった。しかし、ROG XG 2025では、これらの問題に対応するため、冷却構造の大幅な強化が施されている。
また、新型ROG XG 2025では、ファンノイズを従来モデルと比較して3dB低減させることに成功している。これにより、ゲームや動画編集、3Dレンダリングといった用途でも静かで快適な環境を維持できる。さらに、ダストフィルターの採用によって、長期間使用しても冷却効率が低下しにくい設計となっており、定期的なメンテナンスの負担も軽減される。
冷却性能と静音性の両立が進んだことで、ROG XG 2025はこれまでのeGPUの課題を克服し、より実用的な外付けGPUとしての地位を確立することになりそうだ。
ROG XG 2025は誰に向いているのか コストと利便性のバランスを考える
ROG XG 2025の価格設定を見ると、RTX 5070 Tiモデルで1,999ドル(約30万円)とされており、ハイエンドGPUを搭載したゲーミングノートPC並みの価格帯となっている。
さらに、RTX 5090モデルは未発表ではあるものの、ROG XGシリーズの過去の価格設定を考えると、大幅に高額になる可能性が高い。この価格帯を考慮すると、ROG XG 2025は万人向けの製品ではなく、特定のユーザー層に向けたデバイスと言える。
まず、最も恩恵を受けるのは、持ち運び可能なノートPCで作業をしながら、自宅ではハイパフォーマンスな環境を求めるユーザーだ。例えば、外出先では軽量なノートPCで作業し、自宅ではROG XG 2025を接続して本格的なゲームや映像編集を行うといった使い方が考えられる。
また、Thunderbolt 5の高速転送によって、eGPUのパフォーマンスロスが抑えられるため、これまでのeGPUに不満を持っていたユーザーにも魅力的な選択肢となる。
一方で、価格を考慮すると、単純にゲーミング用途で使用する場合は、デスクトップPCを購入するほうがコストパフォーマンスに優れる可能性がある。特に、RTX 5090搭載モデルが予想される価格帯を考えると、ハイエンドなデスクトップ環境と同等、あるいはそれ以上の投資が必要になるかもしれない。
そのため、ROG XG 2025は、単なるゲーミングデバイスではなく、柔軟なワークスタイルを求めるユーザーに最適なeGPUとしての位置づけが強くなりそうだ。
Source:VideoCardz.com