Windowsのドライバーに新たなゼロデイ脆弱性(CVE-2025-21418)が発見され、攻撃者がリモートでシステムにアクセスできる可能性があることが判明した。

この脆弱性はヒープベースのバッファオーバーフロー(CWE-122)に分類され、Microsoftの分析ではCVSSスコア7.8(重要)と評価されている。攻撃者がこの脆弱性を悪用すると、SYSTEM権限を獲得し、システムを完全に制御できるリスクがある。

影響を受けるのはWindows 10、Windows 11、各種Windows Serverで、Microsoftは緊急のセキュリティアップデートを公開した。既にこの脆弱性を利用した攻撃が確認されており、迅速な対策が求められる。

CVE-2025-21418の詳細と悪用リスク 攻撃者が狙うポイントとは

CVE-2025-21418はWindowsドライバーの脆弱性で、ヒープベースのバッファオーバーフロー(CWE-122)に分類されている。この種の脆弱性は、メモリ管理の不具合を悪用し、攻撃者が任意のコードを実行できる状況を作り出す。特にこのケースでは、SYSTEM権限まで昇格できるため、システム全体の支配が可能となる。

Microsoftの発表によると、この脆弱性のCVSSスコアは7.8と高く、攻撃の影響は深刻だ。ただし、攻撃ベクトルはローカル(AV:L)であり、外部から直接侵入するタイプではない。だが、すでに攻撃が確認されているため、リモート攻撃の一部として利用される可能性がある。例えば、マルウェアやフィッシング攻撃を介して脆弱なドライバーを標的のPCにインストールさせる手法が考えられる。

特に注意すべき点は、この脆弱性が既存のWindowsシステムの広範囲に影響を及ぼしていることだ。Windows 10、Windows 11、さらにはWindows Server 2025を含む複数のバージョンが影響を受けており、企業や個人のPC環境に潜在的なリスクをもたらしている。Microsoftは緊急パッチをリリースしているが、適用が遅れると、攻撃者に利用されるリスクが高まる。

既に攻撃が確認されたCVE-2025-21418 どのような手口が考えられるのか

この脆弱性に関する最大の懸念点は、既に攻撃が確認されているという事実だ。Microsoftが公表した「時間的CVSSスコア」が7.2とやや低めに見えるのは、脆弱性の詳細が公開されたばかりであり、今後の攻撃手法次第でリスクが変動するためである。だが、攻撃者はこの情報を既に把握しており、実際の攻撃で利用し始めている。

可能性のある攻撃手法として、標的型攻撃が挙げられる。例えば、フィッシングメールや悪意のあるファイルを通じて脆弱性を持つドライバーをユーザーのPCにインストールさせ、SYSTEM権限を取得するパターンが考えられる。また、マルウェアの一部として組み込まれ、他の脆弱性と組み合わせた多段階攻撃を行う可能性もある。

企業環境では、管理者権限を持つユーザーが狙われる危険性が高い。特にWindows Server環境では、一度SYSTEM権限が奪われると、社内ネットワーク全体への侵入が容易になり、大規模な情報漏えいやランサムウェア攻撃の足掛かりとなる。すでに攻撃が発生している以上、迅速なパッチ適用が必須である。

ユーザーが取るべき対策 最新パッチの適用と追加のセキュリティ対策

Microsoftは2025年2月の「Patch Tuesday」でCVE-2025-21418に対処するセキュリティアップデートをリリースした。パッチID「5051987」および「5052105」が該当するが、これらのアップデートを適用することが最優先事項となる。

しかし、パッチ適用だけでは万全ではない。攻撃者は未修正のPCを狙うため、追加のセキュリティ対策が求められる。まず、信頼できないソースからのファイルやドライバーのインストールを制限することが重要だ。Windowsのグループポリシー設定を利用し、不明なドライバーが自動的にインストールされないように設定するのも有効な手段である。

さらに、脆弱性を悪用したマルウェアの侵入を防ぐために、EDR(Endpoint Detection and Response)ソリューションの導入が推奨される。EDRを活用することで、不審なプロセスの動きをリアルタイムで検知し、システム権限の異常な昇格を未然に防ぐことが可能となる。

また、個人ユーザーにおいても、日常的なセキュリティ習慣が重要となる。例えば、Windows Defenderや他のウイルス対策ソフトを最新の状態に保つこと、定期的なOSの更新を怠らないこと、不審なメールやリンクを開かないことが、リスクを最小限に抑える基本的な対策となる。

Source:Cyber Security News