AMDの次世代グラフィックカード「Radeon RX 9070 XT」の価格について、同社の幹部が公式にリーク情報を否定した。ブルガリアの小売業者が提示した価格情報をもとに、899ドルという販売価格が浮上していたが、AMDのフランク・アゾール氏は「計画の一部ではなかった」と明言している。

この価格情報は、海外メディアVideoCardzが試算したもので、通常モデルのRX 9070は749ドル、上位モデルのRX 9070 XTは899ドルとされた。しかし、AMDはRDNA 4世代の新GPUについて、正式な価格をまだ発表していない。

市場では、インテルのArc B580(249ドル)やNVIDIAのRTX 5070 Ti(749ドル)、RTX 5070(549ドル)といった競合製品の価格設定が、AMDの戦略に影響を与えた可能性が指摘されている。AMDは公式なコメントを控えているが、既に小売店には製品が確保されており、正式な発売を待つ状態にあるという。

RX 9070 XTの価格リークはどこから生まれたのか

RX 9070 XTの価格情報は、ブルガリアの小売業者から出たものとされている。これを受けて、テックメディアのVideoCardzがリークされた価格差を基に、RX 9070 XTの販売価格を899ドル、RX 9070を749ドルと推測した。しかし、AMDはこの価格について「計画の一部ではなかった」とコメントし、リーク情報の信憑性を否定している。

では、なぜこのような誤った情報が流布されたのか。その要因のひとつとして、小売店が独自の価格設定を行い、正式発表前に市場価格を推定するケースがある。特に、PCパーツ業界では事前に一部の流通経路に在庫が配布されるため、販売店が競合製品と比較しながら価格を調整することがある。

また、RDNA 4シリーズの発売時期が明確でないことも影響している。AMDは基調講演において新GPUの詳細を明らかにしなかったため、価格や性能についての推測が加速した。特に競合他社であるNVIDIAのRTX 5070シリーズが2月20日に登場すると見られていることから、AMDの動向に関心が集まり、誤った情報が拡散されやすい状況になったと考えられる。

AMDの価格戦略は競争環境にどう影響するのか

現在のグラフィックカード市場は、NVIDIAとAMDに加え、インテルも本格参入し、競争が激化している。特にミドルレンジ市場では、価格が売上に直結しやすいため、各社は慎重に価格設定を行っている。AMDが正式な価格を発表しないのは、市場動向を見極めるための戦略的な判断である可能性がある。

競争相手の動きを見ると、インテルのArc B580が249ドルと低価格で投入され、NVIDIAのRTX 5070 Tiと5070がそれぞれ749ドル、549ドルと設定されている。もしAMDがRX 9070 XTを899ドルで発売すれば、NVIDIAの上位モデルより高くなり、競争力を失うリスクがある。そのため、AMDが価格を調整し、競合製品に対抗できる価格帯で投入する可能性が高い。

また、AMDは転売対策も考慮しているかもしれない。過去の人気GPUでは、発売直後に転売価格が急騰し、実際の市場価格が大幅に上昇することがあった。そのため、十分な在庫を確保しつつ、適正価格で提供するために発売を遅らせる戦略をとっている可能性がある。

公式発表を待つべき理由と今後の展開

AMDはRDNA 4アーキテクチャの詳細をまだ発表しておらず、RX 9070 XTやRX 9070の正確な仕様や性能が不明な状態にある。このため、正式な発表前に価格や性能を断定するのは時期尚早であり、購入を検討しているユーザーは冷静に情報を待つべきだろう。

現在のリーク情報は、あくまで推測に基づくものであり、実際の販売価格や性能とは異なる可能性がある。特に、AMDのフランク・アゾール氏が「899ドルの価格設定は計画の一部ではない」と明言したことから、最終的な価格はリーク情報よりも低くなる可能性もある。

今後の展開として、AMDは2月から3月にかけて新製品の詳細を発表すると見られており、そのタイミングでRTX 5070シリーズとの比較が明確になるだろう。これにより、各GPUの実際のパフォーマンスや価格が判明し、消費者はより適切な選択を行えるようになる。正式発表までの間、信頼できる情報をもとに冷静に動向を見極めることが重要である。

Source:Tom’s Hardware