2024年12月31日、新たなオープンソースCUDA実装「ZLUDA v4」が発表された。開発者Andrzej Janikによるこのプロジェクトは、AMDや他の非NVIDIA GPUでCUDAアプリケーションを動作させる新しい試みである。もともとAMDの支援を受けたZLUDAプロジェクトは、同社の要請によりコードが削除された過去があるが、新たなコードベースの構築を経て再出発した。

今回のリリースは新コードベースでの初の成果として注目されているが、サポートされるプログラムは現段階でGeekbenchのベンチマークに限られる。今後の展開次第で非NVIDIA GPU市場の可能性を広げる存在となる可能性が期待される。

ZLUDAが示す非NVIDIA市場の新たな可能性

ZLUDA v4は、非NVIDIA GPUでのCUDAサポートという分野に新たな可能性を示している。CUDAはこれまでNVIDIAの独占的技術として位置づけられ、AIや科学計算をはじめとする幅広い分野で利用されてきた。今回のリリースは、AMDやIntel GPUを含む非NVIDIA環境でCUDAアプリケーションが動作する可能性を初めて実証するものである。このような取り組みは、特にAIワークロードでのGPU選択肢を増やすことにつながると考えられる。

Michael Larabelが報じたように、ZLUDAの背後には、オープンソースとしての柔軟性と非独占性を重視した設計思想がある。これにより、開発者や研究者はNVIDIA以外のハードウェアでも効率的なCUDA環境を構築できる可能性が生まれる。ただし、現時点では機能が限定的であり、プロジェクトの成熟にはさらなる時間が必要とされる。非NVIDIA GPU市場の競争が活性化する中、ZLUDAはその中心的存在となる可能性がある。

AMDの削除要請を経た再出発とその背景

ZLUDAプロジェクトは、もともとAMDからの資金提供を受けて開発が進められていたが、同社の要請により過去のコードが削除された。この背景には、CUDAサポートの競争環境やAMD自身の技術戦略との整合性が影響したと考えられる。削除後、開発者Andrzej Janikはプロジェクトを完全に書き直し、AMDの影響を受けない形で再構築を進めた。この決断がZLUDA v4という新たなスタートにつながっている。

こうした流れは、GPU市場におけるオープンソース技術の重要性を示している。企業が競争力を強化するために独自技術を保護する一方で、オープンソースプロジェクトがその制約を超える形で技術の進化を支えている。ZLUDA v4の事例は、個人開発者の努力とコミュニティの力が市場を変える可能性を示唆しており、非NVIDIA市場の成長に寄与するだろう。

Geekbenchのみ対応の現状と技術的課題

現在のZLUDA v4は、GeekbenchのCUDAベンチマークにのみ対応している。これは、広範なCUDAアプリケーションに対応するための準備段階に過ぎないが、技術的な挑戦の複雑さを示している。CUDAの実装は、高度な並列処理やメモリ管理が求められ、これを非NVIDIA GPUで再現することは容易ではない。

また、GPUアーキテクチャの違いが課題をさらに複雑化させている。NVIDIA GPUに最適化されたCUDAコードを他社製GPUで動作させるには、デバイス固有の最適化を避けつつ汎用性を確保する必要がある。ZLUDA v4は、この困難に挑む第一歩として評価できるが、さらなる開発と最適化が求められる。今後のバージョンアップが非NVIDIA GPUの利用価値を引き上げる鍵となるだろう。