2024年第3四半期のディスクリートGPU販売が前年同期比で約8%減少した。Jon Peddie Researchのデータによれば、この減少は通常堅調なこの時期としては異例である。Nvidiaが市場の90%を占める中、AMDのシェアは10%に縮小。インテルのArc製品は依然として限定的な影響しか持たない。

この現象の背景には、次世代のRTX 5000シリーズやRDNA 4の登場を控え、多くのPCゲーマーが購入を見送っていることが挙げられる。2025年のCESでの発表が予想される中、消費者は既存モデルの値下げや新モデルの性能向上に期待している。加えて、デスクトップPCにおけるディスクリートGPUの取り付け率が低下していることも市場全体の縮小に寄与している。

GPU市場の変化を映す数値と背景

Jon Peddie Research(JPR)の調査によると、2024年第3四半期におけるディスクリートGPU販売台数は8.1百万台で、前年同期比で約8%減少した。この数字は、通常第3四半期に見られる旺盛な需要に反しており、PC市場全体の変化を反映している。さらに、Nvidiaが市場の90%を占める一方で、AMDはシェアをわずか10%に落とし、Intel Arcは依然として限られた役割に留まる。

これらの数字が示すのは、消費者が次世代GPUを待つ「買い控え」の傾向である。AMDやNvidiaが2025年に登場すると見られる新モデルを控えていることが、既存モデルの購入を妨げている可能性がある。この背景には、技術の進歩と価格性能比の改善を期待するゲーマー心理が影響している。

過去の例からも、新世代GPU登場後に旧世代モデルが値下げされることは一般的である。このため、購入タイミングの見極めが市場全体の需要低下につながっていると言える。

Nvidiaの優位性がもたらす競争の課題

Nvidiaは現在、ディスクリートGPU市場の90%を支配する地位を確立している。これは特に、RTX 4000シリーズの成功によるものだ。ゲーマー向けに性能と安定性を重視した製品設計が評価されており、最新のAI技術を統合した機能も支持を得ている。一方、AMDはハイエンド製品であるRX 7900シリーズやミッドレンジのRX 7800 XTを展開しているものの、Nvidiaとの差を埋めるには至っていない。

Nvidiaの優位性が長期的に市場競争を抑制するリスクも存在する。市場シェアの偏りが進むことで、価格競争が減少し、消費者にとっての選択肢が狭まる可能性がある。また、新興プレイヤーとしてのIntelもArcシリーズで苦戦しており、市場への影響力は限定的である。消費者視点からすると、複数の企業が競争することで性能や価格のバランスが取れた製品が提供されることが望ましい状況である。

デスクトップGPU市場の行方と消費者の選択

JPRの報告では、デスクトップPCにおけるディスクリートGPUの取り付け率が前四半期比で約27%も減少したことが指摘されている。この傾向は、ゲーミングPC市場そのものが縮小している可能性を示唆している。特に、統合型グラフィックスの性能向上が進んだことで、カジュアルなゲーマーにとっては単体GPUの必要性が低下している点が注目される。

しかし、コアゲーマーやプロフェッショナルユーザーにとっては、次世代GPUへの期待が高まっている。2025年に発表されると見られるNvidiaのRTX 5000シリーズやAMDのRDNA 4 GPUは、現在の製品群を大きく上回る性能向上が予想されている。

これにより、消費者の購買意欲が再び高まる可能性がある。一方で、輸入関税や製造コストの上昇による価格高騰リスクもあるため、消費者は購入のタイミングを慎重に見極める必要がある。市場の収縮が続く中で、メーカー各社は価格政策や製品戦略の見直しを迫られるだろう。