次世代のAPUとして注目されるAMDのRyzen AI MAX+ Pro 395が、Geekbenchに登場し、その仕様が明らかになった。16コア32スレッド、最大64MBのL3キャッシュを搭載し、4.4GHzのクロック速度が記録されている。

グラフィックス性能では40コンピュートユニット(CU)を備えたRadeon RX 8600S iGPUが確認され、RDNA 3.5アーキテクチャを採用している。Apple MシリーズやNvidiaのRTX 4070と競合する可能性があり、特にノートパソコン向けの市場で高いパフォーマンスを発揮すると見られている。CES 2025での公式発表を前に、価格や最終仕様についての議論が活発化している。

Ryzen AI MAX+ Pro 395の革新的設計とその特徴を紐解く

Ryzen AI MAX+ Pro 395は、AMDが次世代APUとして市場投入を狙う戦略的製品である。その設計はZen 5マイクロアーキテクチャを基盤とし、16コア32スレッドの高性能CPUに加え、64MBのL3キャッシュを含む強力なキャッシュ構成を特徴とする。

また、RDNA 3.5アーキテクチャに基づいたRadeon RX 8600S統合GPUを搭載し、40CUの構成はこれまでの製品を凌駕する規模である。これにより、同クラスのAPUとしては異例の演算能力を実現している。

さらに、Ryzen AI MAX+ Pro 395が使用する「AMD MAPLE-STXH」リファレンスボードは、FP11ソケットに対応する新規設計であり、最大128GBのメモリサポートが可能とされる。この仕様は、従来のノートPCやワークステーションで要求される性能基準を大幅に引き上げる要素となるだろう。AMDは公式発表こそ控えているが、CES 2025において、詳細な仕様や市場展開戦略が明らかになることが期待される。

性能評価と市場競争力への期待

Ryzen AI MAX+ Pro 395のベンチマーク結果では、現時点でRTX 2060に匹敵するVulkanスコアが記録された。この数値は初期シリコンのテスト結果であり、最適化が進めばさらなる向上が見込まれる。これにより、ノートPC市場においてApple MシリーズやNvidia RTX 4070と直接競合する可能性が高いと専門家は指摘する。

特に、AMDが採用したRDNA 3.5アーキテクチャの革新性に注目が集まる。40CU構成は従来のiGPUを凌駕し、Infinity Cacheによるメモリボトルネックの軽減は、次世代SoC設計のトレンドとなるだろう。一方で、現時点での価格が高価で供給が限定的であるとの懸念も存在する。この点については、Strix Haloラインの展開が進む中で価格競争力の改善が鍵を握ると考えられる。

AMDの戦略とAPUの未来

Ryzen AI MAX+ Pro 395の発表は、AMDのノートPC向けAPU戦略の転換点となる可能性がある。従来のAPU市場は、価格性能比の高さを追求する中間層向け製品が主流であった。しかし、Strix Haloシリーズの登場は、ハイエンド市場への参入と新たな競争軸の創出を意味する。

CES 2025では、Ryzen AI MAX+ Pro 395に加え、Krackan PointやRadeon RX 8000シリーズも発表されると見られ、これらの製品が市場に与える影響は計り知れない。特に、エネルギー効率とパフォーマンスのバランスが取れた設計が、モバイルデバイスの長時間使用を可能にする新たな標準を設定する可能性がある。これにより、AMDが従来のライバル企業を追い越す日も遠くないのではないだろうか。