デスクトップCPU市場において、AMDがIntelに対して大幅なシェア拡大を達成し、その勢いが止まらない。2024年第3四半期の報告によると、AMDはデスクトップCPU市場で約30%のシェアを獲得し、前年同期比で大幅な成長を遂げた。IntelのRaptor Lake CPUシリーズに関する安定性の不満が続き、多くのユーザーがAMDの安定したRyzen 9000シリーズへ移行していることが主な要因とされる。
さらに、AmazonのベストセラーリストにもAMD製品が台頭しており、ゲームコンソールや携帯型デバイス分野でもその存在感を示している。データセンター市場ではNvidiaがAI用アクセラレーターで圧倒的なシェアを誇り、IntelやAMDに対する優位性を拡大中だ。Intelの支配的地位が崩れ始めている兆しが見える中、AMDの猛追がIntelの王座を脅かし、今後のCPU市場の勢力図を大きく塗り替える可能性がある。
AMDの急成長を支えるRyzen 9000シリーズの強みとIntelの失地回復の難航
AMDは最新のRyzen 9000シリーズでデスクトップCPU市場における存在感を大幅に高めている。第3四半期の時点で、デスクトップCPUの市場シェアは約30%に達し、前年同期比でも大幅な成長を記録した。
DLCompare.comによると、この成長の背景には、Ryzen 9000シリーズがユーザーから高い評価を得ている点が大きい。特に性能面での安定性や高効率な消費電力が注目され、ゲームやクリエイティブ作業に求められる高負荷にも応えることが可能な点が、消費者の選択に影響を与えているようだ。
一方、IntelのRaptor Lakeシリーズはその性能に対して評価が分かれており、特に安定性に関する不満が目立つ。これはIntelがこれまで築いてきたブランド力に影響を与え、長年のシェアを守りきれない原因ともなっている。安定性問題が改善されない限り、Intelの失地回復は難航すると見られている。Intelにとって、AMDの追撃を抑えるためには次世代CPUの早急な開発と性能向上が急務となるだろう。
NvidiaがAI分野で急成長、IntelとAMDの競争を超える新たな軸に
デスクトップCPU市場においてAMDがIntelを追撃している一方で、データセンターやAI市場ではNvidiaが驚異的なシェア拡大を果たしている。
DLCompare.comの報告によれば、NvidiaはAIおよび高性能コンピューティング(HPC)向けのアクセラレーター市場で支配的な地位を確保し、2024年の上半期だけでAI/HPC向けGPUを420億ドル相当売り上げた。この数字には同社のGPU以外の売上が含まれていないことから、Nvidiaがもたらす影響は非常に大きいといえる。
AI需要の高まりはNvidiaの技術革新を後押しし、AI専用のGPUやアクセラレーターの分野で圧倒的なシェアを誇る。これにより、IntelやAMDがデータセンターやエッジコンピューティング市場で競争力を発揮するためには、AIへの特化と高度な計算能力を持つ製品の投入が不可欠であると考えられる。Nvidiaの拡大が今後も続くと予想される中で、IntelとAMDはAI市場での競争力強化に迫られている。
消費者市場でのブランド選好がIntelとAMDの未来を左右する可能性
現在、デスクトップCPU市場では消費者が新たな選択肢としてAMDを選ぶ傾向が強まりつつある。Amazonのベストセラーリストを占拠するAMD製品の影響は明確であり、特に高性能かつ高効率のCPUを必要とするゲーマー層やクリエイター層でのシェアが増加している。Intelに対するブランド選好が変化する中、AMDの製品は手ごろな価格と高い性能の両立が評価され、市場での支持を拡大している。
しかしながら、Intelには依然として多数のシェアがあり、ビジネス分野や一般家庭での需要も依然高い。特にブランド力を武器にするIntelは、これまで築き上げた信頼を背景に市場でのシェアを維持しようとしている。消費者市場での選好がこのまま変わり続けるのか、それともIntelが再びシェアを取り戻すのか、今後の製品展開や技術革新がCPU市場の未来を左右する要因となるだろう。