AMDの最新プロセッサ、Ryzen 7 9800X3Dが液体窒素冷却によるオーバークロックで6.9GHzを記録し、Valorantで1400FPS超えという驚異的なフレームレートを達成した。ASUSのTony Yuは、このCPUをオーバークロックし、Counter-Strike 2でも1200FPS以上を実現したことをWeiboで報告。
さらにMSIは、デモ目的で同プロセッサを7.2GHzまで引き上げることに成功した。この結果、3D V-Cache搭載のRyzen 7 9800X3Dは、eスポーツゲーム向けの最高性能CPUとして注目を集めている。Zen 5アーキテクチャの革新により、従来よりも高いオーバークロック性能が可能になり、競技者向けの新たな選択肢として躍り出た。
ASUSによる6.9GHzオーバークロックで示されたRyzen 7 9800X3Dの性能限界
AMDの新世代CPUであるRyzen 7 9800X3Dは、ASUS中国のゼネラルマネージャーTony Yuによるオーバークロックで6.9GHzに達し、Valorantで1400FPSを超えるフレームレートを記録した。液体窒素冷却を活用したこの高いクロック速度は、既存の冷却技術の限界を大幅に超えた結果であり、一般的な使用環境では到達し得ないものだ。
しかし、この実績はRyzen 7 9800X3Dの性能可能性を引き出すための重要な一歩といえる。最新のZen 5アーキテクチャと3D V-Cache技術の融合によって、従来のRyzenシリーズとは異なる新たなパフォーマンスレベルが実現された。
このような超高クロックは、eスポーツ界の競技向け環境の可能性を広げ、競技者やエンスージアストにとって魅力的な選択肢となるだろう。さらに、Ryzen 7 9800X3Dが提供するFPSは、ゲーマーの反応速度を高める可能性を秘めており、FPSゲームにおけるCPUの役割の重要性を再認識させる結果である。
MSIが挑戦した7.2GHzのデモが示すオーバークロックの新境地
ASUSの実績に続き、MSIはX(旧Twitter)にて7.2GHzのオーバークロックデモを公開した。これはRyzen 7 9800X3Dのさらなる限界を探るものであり、MSIはこのデモの際に同時マルチスレッディング(SMT)を無効化するという手法を採用した。これにより、一部の機能を制限しつつもクロック速度を最大限に引き上げることに成功したのである。
今回のデモは安定性や持続的な性能を追求するものではなく、純粋にオーバークロックの限界を示す試みであった。しかし、この結果はオーバークロックの可能性をさらに広げ、エンスージアストの間でCPUオーバークロックの技術とその限界への関心が高まっていることを示唆している。
なお、一般ユーザーにとって7.2GHzのクロック速度は現実的な目標ではないが、こうしたデモが技術革新を促進し、未来のコンシューマー向けCPUにも影響を与える可能性がある。
AMDのZen 5アーキテクチャがもたらす冷却とオーバークロックの革新
Ryzen 7 9800X3Dに搭載されたAMDのZen 5アーキテクチャは、従来のオーバークロックの制限を克服するために革新的な設計変更が施されている。従来のRyzen X3Dプロセッサでは、SRAMがCCDの上部に配置されていたため、冷却効率が低下しやすく、クロックスピードの向上が制約されていた。しかし、Zen 5ではSRAMをCCDの下に配置することにより、温度と電力分配の効率が向上している。
これにより、3D V-Cacheモデルでも一般的なバニラ版と同様のオーバークロックが可能になり、6.9GHzや7.2GHzといった高クロックの達成が実現したのである。AMDのこの設計変更は、CPUの温度管理とクロックスピード向上の両立を図り、エンスージアスト向けの競技環境でも信頼性の高いオーバークロック体験を提供する。これにより、将来のCPU市場において、より高度なオーバークロック機能を備えた製品が求められる可能性があると考えられる。