Windows 11のセットアッププロセスに新たな変更が加えられようとしている。Microsoftは、Windows 11の初期設定(OOBE)の段階で、最新の更新プログラムを自動適用するかどうかをユーザーが選択できる機能を導入する計画を進めている。この変更により、特に新規PCのセットアップ時に、デスクトップに到達する前に最新のセキュリティパッチや機能更新を適用できるようになる。
これまで、Windows 11をISOファイルからクリーンインストールした場合や、新しいPCを購入した場合、セットアップ完了後に手動でWindows Updateを実行する必要があった。
しかし、今後はOOBE中の更新機能によって、OSのインストールプロセス中に重要な更新を適用できるようになる。企業向けエディションではグループポリシーやAutopilotを活用した管理が可能となり、一括適用の利便性も向上する見込みだ。
この新機能は現在テスト段階にあり、2025年半ばに正式リリースされる予定だ。適用には約20分かかるとされるが、ネットワーク環境やハードウェア性能によって所要時間は変動する可能性がある。これにより、Windows 11のセットアップ体験が一層スムーズになり、ユーザーの利便性が向上することが期待される。
OOBE中のWindows 11更新で何が変わるのか 現在のプロセスとの違い
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Windows 11の新機能として導入予定のOOBE中の更新は、従来のWindows Updateとは異なる仕組みを採用している。現在、Windows 11を新規インストールした場合や、新しいPCを購入した場合、初回セットアップ後に手動でWindows Updateを実行し、最新のセキュリティパッチや機能更新を適用する必要がある。
しかし、このプロセスは更新の適用に時間がかかるだけでなく、複数回の再起動が必要になることが多い。特に新しいノートパソコンを購入した際には、工場出荷時の状態が最新でないことがほとんどであり、インターネットに接続後、数回にわたるアップデートが求められるケースが一般的だ。
これに対し、OOBE中の更新では、デスクトップに到達する前に最新の更新プログラムを適用できるようになる。これにより、初回起動後すぐに最新の環境でWindows 11を使用できるほか、重要なセキュリティパッチも適用済みの状態でセットアップを完了できる。
特に、Windows 11 24H2以降のバージョンでは、この更新機能が標準となり、ユーザーの手間を大幅に削減する見込みだ。また、企業向けのエディションではグループポリシーやAutopilotを活用して更新管理ができるため、一括で最新の状態へアップデートすることも容易になる。
これまでのWindows Updateの仕組みでは、セットアップ後に「設定」アプリから手動で更新を適用しなければならなかったが、OOBEの段階で更新が完了することで、デバイスのセットアップ時間の短縮が期待される。
ただし、このプロセスには一定の時間が必要であり、Microsoftはダウンロードとインストールに約20分かかると見込んでいる。そのため、ユーザーのネットワーク環境やデバイスのスペックによって所要時間が異なる可能性がある点には注意が必要だ。
OOBE中の更新によるメリットと懸念点 セットアップの利便性は向上するのか
OOBE中の更新機能が導入されることにより、Windows 11の初回セットアップがよりスムーズになると考えられる。この変更により、特に初心者ユーザーや企業での大量導入時における手間が軽減される。例えば、新しいPCを購入した際、従来は起動後すぐにWindows Updateを実行する必要があったが、今後はセットアップ完了時点で最新の更新が適用された状態になるため、時間の節約につながる。
さらに、最新のセキュリティパッチが適用されることで、初期設定直後から安全な環境でPCを使用できる点も大きなメリットとなる。
一方で、懸念点もある。OOBE中に更新を適用するということは、ネットワーク環境が不安定な場合や通信速度が遅い環境では、セットアップに時間がかかる可能性がある。特に、大容量の更新プログラムが含まれる場合は、セットアップが長時間に及ぶことも考えられる。
Microsoftは、更新プロセスが平均20分程度で完了するとしているが、環境によってはさらに時間を要するケースもあるだろう。また、最新のWindows 11 ISOファイルにはすべての更新が含まれているわけではなく、特に月例のセキュリティアップデートが適用されるタイミングによっては、OOBE中の更新による影響が大きく変わる可能性がある。
企業向けの利用では、グループポリシーやAutopilotによる管理が可能になるものの、企業ごとに異なるセキュリティポリシーとの兼ね合いもある。例えば、特定の更新を適用せずにセットアップを完了したい場合や、カスタムイメージを使用して展開する場合には、OOBE中の更新が不要な場合も考えられる。そのため、企業向けの管理者は、導入前に設定オプションを慎重に検討する必要があるだろう。
今後の展望 OOBE中の更新機能はどのように発展するのか
Microsoftは現在、このOOBE中の更新機能をテスト段階としているが、今後のWindows 11のアップデートでさらに改良が加えられる可能性がある。例えば、更新プロセスのさらなる高速化や、適用する更新プログラムの種類を選択できる機能が追加されることが期待される。
特に、企業向けにはカスタマイズ性の高い更新管理が求められるため、ポリシー設定の強化や、より詳細な管理オプションの提供が行われる可能性がある。
また、今後リリースされるWindows 11 24H2では、OOBE画面自体のデザインが変更される予定であり、より直感的なUIで更新の有無を選択できるようになるとされている。この変更により、一般ユーザーでも簡単に更新プロセスを理解し、必要に応じて適用を選択できるようになるだろう。
さらに、Windows 11のCopilot+ PC向けの最適化が進められていることから、AIを活用したインストールアシスタントが導入される可能性もある。
一方で、OOBE中の更新機能が強制的な仕様になるのか、それともオプションとして提供されるのかはまだ確定していない。Microsoftは、ユーザーに選択肢を提供する方針を示しているが、今後のアップデートでこの方針がどのように変化するかは注視する必要がある。
特に、Windows 11の企業向けエディションにおいては、完全な管理機能を提供することで、IT管理者が環境に応じた設定を行えるようにすることが求められるだろう。
総じて、OOBE中の更新機能は、Windows 11の利便性を向上させる重要な変更となるが、同時に環境や用途によって最適な設定が求められる機能でもある。今後のMicrosoftの動向を見守りながら、どのように活用するかを考える必要があるだろう。
Source:Windows Latest