Intelの最新フラッグシップCPU、Core Ultra 9 285KがCPU-ZやBlenderなどのベンチマークでテストされ、その性能が明らかになった。この24コアCPUは、Raptor Lakeリフレッシュファミリーのi9 14900Kに対して、最大19%の性能向上を記録している。ただし、シングルコアのスコアは一部のi9モデルに劣る結果となった。また、動作温度が100°Cを超えるサーマルスロットリングが確認され、冷却性能が今後の課題として浮上している。

Core Ultra 9 285Kの基本スペックと競合比較

IntelのCore Ultra 9 285Kは、Arrow Lakeシリーズの最新フラッグシッププロセッサとして24コアと24スレッドを搭載している。最大5.5GHzのPコアブーストクロックと、4.6GHzのEコアブーストクロックを実現し、ハイエンド向けのCPUとしての性能を示している。これにより、従来のRaptor Lakeリフレッシュファミリーに属するCore i9-14900Kに対抗するだけでなく、さらなる性能向上を狙った設計となっている。

特に、Blenderなどのマルチスレッドに最適化されたソフトウェアにおいて、Core Ultra 9 285Kは前モデルを上回るパフォーマンスを発揮している。ただし、シングルコア性能においては依然としてCore i9-14900KなどのRaptor Lake世代のモデルに劣る場面も見られる。そのため、ゲーミング用途などシングルスレッド性能を重視するユーザーにとっては、選択の余地があると言える。

このCPUはまた、最大105°Cの動作温度に対して101°Cに達することが確認されており、冷却性能や熱管理がパフォーマンスを左右する要素として注目されている。競合するAMDのRyzen 9 7950Xと比較しても、全体的な性能では一歩リードしているが、動作温度や消費電力に対する懸念が残る状況である。

ベンチマーク結果から見るパフォーマンス向上の詳細

Core Ultra 9 285Kは、ベンチマークテストにおいてその性能を明確に示している。特に、Blenderのベンチマークにおいて、Core i9-14900Kに対して最大19%のパフォーマンス向上を達成した。これにより、マルチスレッド性能を重視するクリエイターやプロフェッショナルユーザーにとって、強力な選択肢となるだろう。

しかし、シングルスレッド性能においては改善の余地が残っている。CPU-Zのベンチマークでは、シングルコアスコアが909ポイントに留まり、Raptor Lake世代の他モデルと比較して劣っていることが分かった。これにより、ゲーミングや一部のアプリケーションにおいては、期待されるほどの性能向上を実感できない可能性がある。

また、リングバスクロックが3790.9MHzに設定されていることも一因となり、特にゲームにおけるパフォーマンス向上が抑制されている可能性が指摘されている。今後のファームウェアアップデートやBIOSの最適化によって、さらなる改善が期待されるが、現時点では慎重に評価すべき点も多い。

サーマルスロットリングによる性能への影響

Core Ultra 9 285Kは、非常に高い動作温度を記録している。特に、最大105°Cの動作限界に対して、ベンチマーク中に101°Cに達することが確認された。この高温により、CPUのパフォーマンスが低下する「サーマルスロットリング」が発生し、持続的な高負荷時にはブーストクロックが維持できない状況が生じている。

この問題は、特に高性能なCPUクーラーを使用しなかった場合に顕著である。ベンチマークテストに使用された冷却システムの詳細は明らかにされていないが、十分な冷却性能を持たないシステムでは、長時間の安定動作が困難であると考えられる。これにより、エンコード作業やレンダリングなどの長時間負荷がかかるタスクにおいて、パフォーマンスの低下が懸念される。

サーマルスロットリングの発生は、ハイエンドCPUにおいて特に問題視されるべき点である。最大限のパフォーマンスを引き出すためには、適切な冷却環境の構築が不可欠であり、空冷や簡易水冷では限界があるかもしれない。今後のユーザー評価によって、より具体的な冷却対策が求められるだろう。

Core Ultraシリーズの今後の展開と発売時期

IntelのCore Ultraシリーズは、2024年10月24日に正式な発売が予定されている。このシリーズは、Core Ultra 9 285Kの他に、Core Ultra 7 265KやCore Ultra 5 245Kといったモデルがラインナップされており、それぞれ異なるターゲットユーザー層に向けて提供される。

特に、Core Ultra 7 265Kは、ハイパフォーマンスを求めるユーザー向けに、16コア/16スレッドの構成で登場する予定である。一方、Core Ultra 5 245Kは、エントリーレベルのハイエンドCPUとして、12コア/12スレッドを搭載し、バランスの取れたパフォーマンスを提供する。この2つのモデルもすでにベンチマークテストが行われており、各モデルの性能が明らかになっている。

正式な販売開始までにさらなる詳細が明らかになることが期待されており、特に価格帯や具体的な販売戦略が注目されている。AMDのRyzenシリーズとの競争が激化する中で、Intelがどのような差別化を図るかが今後の焦点となるだろう。