IntelのCEO、パット・ゲルシンガーは、2024年のLenovo Tech Worldに登壇し、次世代プロセッサ「Panther Lake」を初公開した。この新しいCPUは、18Aプロセス技術を採用しており、性能向上を目指した複数の革新技術が組み込まれている。加えて、Panther Lakeには新たなXe3 GPUも搭載され、AI対応の強化が期待されている。
Lenovo Tech Worldで発表された「Panther Lake」
IntelのCEO、パット・ゲルシンガーは、2024年のLenovo Tech Worldにおいて、次世代プロセッサ「Panther Lake」を初めて披露した。イベント中盤で登場したゲルシンガーは、AI時代の到来をインターネットの登場に匹敵するほどの技術革新と称し、その一環としてPanther Lakeのデモンストレーションを行った。このチップは、Intelの18Aプロセス技術を採用しており、製造技術の大幅な進化が盛り込まれている。
Panther Lakeは、従来の「Meteor Lake」や「Lunar Lake」プロセッサの次に位置する製品であり、CPUだけでなくGPUやNPUといった複数の重要な機能も強化されている。具体的には、バッテリー寿命の改善やパフォーマンスの向上が図られており、モバイルプラットフォームでの動作にも最適化されている。この新CPUのサンプルは、2024年内にリリースされる予定で、最初の製品には統合されたグラフィックスやAI処理が期待される。
新アーキテクチャー「Cougar Cove」と「Darkmont」
Panther Lakeでは、Intelの新しいPコアである「Cougar Cove」と、Eコアの「Darkmont」アーキテクチャが採用されている。この新設計により、最大16コアの構成が可能となり、PコアとEコアの組み合わせによって処理の効率性とパフォーマンスが飛躍的に向上している。Cougar Coveは、パフォーマンス重視のコアであり、高負荷のタスクに対応するための処理能力を提供する。
一方、Darkmontは、エネルギー効率を重視したEコアであり、軽量なタスクやバックグラウンド処理に適している。この設計は、Skymontアーキテクチャの改良版であり、従来のアーキテクチャに比べてさらに効率的に電力消費を抑えることができる。この新しいコアの組み合わせにより、モバイルデバイスでも優れたパフォーマンスと省電力性を両立させている。
AI時代を見据えた第5世代NPUの搭載
Panther Lakeには、Intelの第5世代NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)が搭載されている。この新しいNPUは、AI処理能力の大幅な向上を図っており、前世代の第4世代NPUと比較して48TOPS(テラオペレーションズ・パー・セカンド)の処理能力を提供する。これにより、AI関連のタスクがより迅速かつ効率的に実行されるようになっている。
特に注目すべきは、AI推論の分野での応用であり、リアルタイムの音声認識や画像処理、そして機械学習などのタスクが強化されている点である。第5世代NPUは、より高度なAI計算を必要とする新しいアプリケーションにも対応可能であり、今後のAI技術の発展に大きな影響を与えると期待される。この強化により、AI機能を多用するソフトウェアやサービスのパフォーマンスも向上していく見込みである。
Xe3 GPUの新たな可能性
Panther Lakeには、新たに開発されたXe3 GPUが搭載されている。このXe3は、従来のXe2 GPUと比較して、より高いグラフィックス性能を提供することが期待されている。Intelは、まだXe2アーキテクチャをディスクリート形式でリリースしていないが、Lunar Lakeでは統合型のXe2グラフィックスが採用されており、この流れを受けてPanther Lakeではさらに強化されたグラフィックス機能を提供している。
Xe3 GPUは、低電力のバリエーションとして設計されており、主にモバイルデバイスや省電力が求められる環境で活用される見込みである。この新しいGPUは、リアルタイムの映像処理やゲーム、さらにはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)においても、その性能を発揮することが期待されている。また、Xe3は、AI処理にも対応しており、AIグラフィックスの分野でも新たな可能性を開くとされている。