ASUSのProArt PZ13は、MicrosoftのSurface Proと同様に分離可能な2-in-1 PCとして設計されている。しかし、最大の魅力はその価格だ。Surface Proが2000ドル近くするのに対し、ProArt PZ13は1100ドルと大幅に安い。とはいえ、この価格には犠牲が伴う。ProArt PZ13は、性能面で大きな妥協を強いられ、特にグラフィックやAI関連のタスクではSurface Proに大きく劣る。その一方で、バッテリー寿命は抜群だ。

Surface Proの代替機としての可能性

ASUS ProArt PZ13は、MicrosoftのSurface Proに対抗するコスパ重視の2-in-1デバイスとして注目されている。分離可能なキーボードとタブレットスタイルの使用が可能なデザインは、Surface Proと非常に似ているが、その価格が1100ドルと大幅に安価である点が最大の魅力である。

Surface Proが約2000ドルの高価格帯に位置する中、ProArt PZ13はより手頃な価格で多くの消費者に選択肢を提供する。しかし、この価格差はただの数字ではない。ASUSはコスト削減のためにいくつかの妥協をしており、特に性能面ではSurface Proと比較して明らかな差がある。

とはいえ、ProArt PZ13は、普段使いのデバイスとしてのポテンシャルを十分に持っている。ウェブブラウジングや一般的なビジネスアプリケーションには十分な性能を発揮するため、日常的な作業には問題ない。ただし、グラフィックやAI関連のタスクでは性能の限界が顕著であることを認識しておく必要がある。

3ピース構造による携帯性と重量問題

ASUS ProArt PZ13の最大の特徴の一つは、その独特な3ピース構造である。Surface Proが画面とキーボードの2ピース構成であるのに対し、ProArt PZ13は画面、キーボード、そして別体のスタンドという3つの要素で構成されている。このスタンドは磁気で画面背面に取り付けられるが、その重量とサイズが問題となる。

画面とキーボードだけでなく、スタンドも含めた3つのパーツが全て揃って初めて、ProArt PZ13は機能を発揮する。しかし、この構造は携帯性に大きな影響を与え、特に全てを揃えた状態での重量は約1.5kgに達する。Surface Proと比較してもかなり重く、特に持ち運びにおいてその差は顕著である。

また、スタンドを取り外すと軽量化されるものの、タブレットとしての使用感はそれほど変わらない。これにより、ProArt PZ13はコンパクトさが売りの2-in-1デバイスとしては若干扱いにくいデザインと言える。

Snapdragon X Plus搭載で性能は大幅に低下

ProArt PZ13にはQualcommのSnapdragon X Plusが搭載されており、これがSurface Proとの大きな違いを生んでいる。このCPUは、特にグラフィックやAI関連のタスクにおいては、Surface Proに搭載されているIntel製チップと比較して明らかに劣る。

実際、ProArt PZ13の性能は、日常のウェブブラウジングやビジネスアプリケーションでは問題ないが、グラフィック処理やAI関連の作業では大きく遅れを取る。特にグラフィックテストでは、Surface Proが13%から100%以上の速度差を見せ、ProArtはこれに追いつけない場面が多々あった。

Snapdragon X Plusの省電力性能は評価に値するが、その代償としてパフォーマンスが大幅に犠牲となっている。特に、AI機能を活用する場面では性能の低さが顕著であり、AIのリアルタイム翻訳やキャプション機能などではProArtが処理できないタスクが多かった。

圧倒的なバッテリー持続時間と価格の魅力

ProArt PZ13のバッテリー持続時間は非常に優れている。フルスクリーンでのYouTubeストリーミングテストでは、19時間18分という記録的な長さを誇り、MacBook Pro M3 Maxとほぼ同等の性能を見せた。このバッテリー寿命は、キーボードを接続しても変わらないという点も評価が高い。

価格に関しても、ProArt PZ13はその競争力を発揮している。1100ドルという価格設定は、Snapdragon X Plusを搭載した最も安価なSurface Proと比べても250ドルほど安い。この価格差が、多くのユーザーにとってProArt PZ13を魅力的にしている。

性能面での妥協があるとはいえ、価格とバッテリーの持続時間を重視するユーザーにとって、ProArt PZ13は十分に検討する価値があるデバイスである。