ASUSの「PRIME X870-P」は、最新のRyzen 9000シリーズに対応するエントリーレベルのAM5マザーボードだ。低価格帯でありながら、パワフルな電力供給と豊富なUSB接続を提供する。

しかし、PCIeスロットの配置やSATAポートの数など、設計にいくつかの疑問点がある。特に、グラフィックカードのサイズによっては一部のスロットが使えなくなる可能性がある。

エントリーレベルAM5マザーボードの特徴

ASUS PRIME X870-Pは、AM5ソケットを採用したエントリーレベルのマザーボードであり、最新のRyzen 9000シリーズに対応している。特徴的なのは、低価格ながらもDDR5メモリやPCIe 5.0など、最新の技術に対応している点だ。これにより、コストパフォーマンスを重視するユーザーでも、最新世代のハードウェアを活用できる。

また、最大192GBまでのDDR5メモリサポートや、M.2スロットを4つ搭載している点も見逃せない。これにより、ストレージの拡張性やデータ転送速度に優れ、将来的なアップグレードにも柔軟に対応できる設計となっている。

一方で、ライバル機種と比較すると、光るデザインやRGB機能は搭載されておらず、見た目の派手さを求めるゲーマー向けというよりも、実用性を重視した構成であると言える。こうした特徴から、手頃な価格で最新技術を手に入れたいユーザーに最適な選択肢となっている。

PCIeスロットの設計に関する疑問点

PRIME X870-Pの設計において、特に問題視されるのがPCIeスロットの配置である。このマザーボードには、PCIe 5.0スロットが1つ、PCIe 4.0スロットが3つ搭載されているが、グラフィックカードのサイズ次第では、一部のスロットが物理的に使用できなくなることがある。

たとえば、ミドルサイズ以上のGPUを搭載すると、トップのPCIe 4.0スロットが完全に覆われてしまい、追加の拡張カードを差し込むことができなくなる。また、M.2スロットに関しては、GPUが干渉する位置に配置されていないため問題はないが、その他のスロットが制限されるのはユーザーにとって大きなデメリットである。

このため、拡張性を重視するユーザーには、他の選択肢を検討することが推奨される。特に、グラフィックカードを使用するゲーマーにとっては、PCIeスロットの使い勝手が大きなネックになる可能性が高い。

パフォーマンスと効率性:ベンチマーク結果

PRIME X870-Pのパフォーマンスは、特に電力効率の面で優れている。ベンチマークテストでは、同価格帯のマザーボードと比較して、消費電力と温度管理のバランスが非常に良好であることが確認された。特に、ゲーミングやマルチコアの負荷が高い作業でも、安定した動作を維持している。

テスト環境では、AMD Ryzen 9 9950XとNvidia RTX 4070 Tiを使用したが、CPUとGPUの組み合わせにおいても、温度上昇を抑えながら効率的にパワーを供給できている点が評価できる。CPUの温度は最大71.7℃、マザーボードの温度は最大で35℃に留まり、これによりシステム全体の安定性が確保されている。

さらに、USBポートやファンヘッダーの配置も考慮されており、冷却性能を最大限に引き出すことができる設計となっている。このため、パフォーマンスと効率を両立したいユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢であると言える。

おすすめのCPUと結論

PRIME X870-Pは、Ryzen 7000シリーズや9000シリーズと幅広く互換性があり、特にRyzen 7シリーズのCPUとの組み合わせが推奨される。これにより、価格とパフォーマンスのバランスが最適化され、通常の使用においても快適な動作が期待できる。

ただし、ハイエンドなRyzen 9シリーズと組み合わせる場合、オーバークロックを重視するユーザーには、より高性能なマザーボードが適しているだろう。特に、電力供給や温度管理の点で、より上位モデルのほうが安定した結果を得られる可能性が高い。

結論として、ASUS PRIME X870-Pは、コストを抑えつつ最新の技術に対応したいユーザーにとって非常に魅力的な選択肢である。しかし、拡張性や高負荷での使用を重視する場合には、他のモデルも検討するべきである。