新しいPCを手に入れた際、初期設定直後のデスクトップが不要なアプリで埋め尽くされていた経験はないだろうか。これらは「ブロートウェア」と呼ばれる不要ソフトウェアで、PCメーカーが利益追求のためにインストールしているものが多い。さらにWindows自身にも、標準搭載のアプリが多く含まれており、ユーザーが必要としないものも少なくない。
ブロートウェアの削除には手動作業や専用ツールの使用が効果的で、これによりシステムのパフォーマンス向上やストレージの節約、セキュリティ向上が期待できる。また、軽量版のカスタマイズされたWindows「Tiny 11」も一部のユーザーに注目されている。適切な削除と最適化を行い、快適なWindows 11環境を手に入れるためのヒントを紹介する。
不要アプリのインストールはなぜ続くのか
新しいPCに「ブロートウェア」が存在する背景には、PCメーカー(OEM)の利益追求がある。これらのソフトウェアは、メーカーがサードパーティ企業からの報酬を得るためにインストールされる仕組みである。たとえば、有料サブスクリプションを求めるセキュリティスイートや、一定期間後に支払いを必要とする試用版アプリが典型的な例だ。さらに、追跡リンクを通じてメーカーにさらなる収益が還元される仕組みが組み込まれている。
このような状況は、ユーザーの利便性よりもメーカーの収益を優先する考え方を反映している。PCの販売利益が薄利化する中、アプリケーションから得られる収益はビジネスモデルの一部として不可欠となっているからだ。しかし、この構造はユーザーの初期体験を損ねる要因にもなっている。PC購入直後の環境が煩雑であることは、生産性や操作性に影響を与えるとの指摘もある。
現状の仕組みを変えるには、ユーザーが購入前にインストールされるソフトウェアについて透明性を求める動きが必要である。消費者の声が高まることで、カスタムオプションを提供するメーカーが増える可能性もある。
ブロートウェア削除が生む具体的な効果
ブロートウェアを削除することで得られる最大の利点は、PCのパフォーマンス改善である。不要なアプリがメモリやCPUリソースを消費することで、システム全体の動作が鈍化するケースが多い。さらに、ストレージ容量の節約という点でも効果が顕著であり、特にストレージが限られたデバイスでは重要性が増す。
加えて、セキュリティの向上も見逃せない利点である。過去には、Lenovoが提供したSuperfishと呼ばれるアプリがマルウェアとして機能していた例がある。このように、不必要なアプリを削除することで、セキュリティリスクを未然に防ぐことができる。
一方で、削除には注意も必要である。Windowsのシステムに深く関わるアプリを誤って削除すると、安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。PCWorldが提案する「Windows 11 Debloater」や「CCleaner」といったツールを使用する際も、慎重に操作するべきである。これにより、安全かつ効率的に不要なアプリを取り除ける。
軽量版Windowsが示す新たな可能性
「Tiny 11」は、低スペックデバイス向けに設計された軽量版Windows 11であり、公式版よりもシンプルで動作が軽い。システム要件として必要なRAMは2GB、ストレージ容量はわずか64GBとされており、インストール後のメモリ使用量も1GB程度に抑えられている。この特徴は、公式版では非対応の古いPCでもWindows 11を動作させるための新たな選択肢を提供する。
ただし、こうしたカスタムシステムにはリスクも存在する。例えば、信頼性の低いソースからダウンロードした場合、不正な改変が加えられたOSを入手する可能性がある。また、公式サポートを受けられないため、不具合の際に自己解決が求められる場合が多い。
独自の考えとして、「Tiny 11」のような軽量版の普及は、PCの再利用や廃棄削減といった観点からも意義深い。公式版が進化を続ける一方で、こうした選択肢がユーザーに広がることで、より多様なPC利用の形が実現するのではないだろうか。