Asus ProArt PX13は、クリエイター向けに設計された2-in-1ラップトップであり、優れたOLEDディスプレイとAI搭載のアプリケーションが特徴だ。AMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサと最大RTX 4070を搭載したこのモデルは、デジタルアーティストや動画クリエイターに最適な性能を誇る。美しくフレキシブルなデザインながら、60Hzのリフレッシュレートやバッテリー寿命がやや物足りない点も見逃せない。
優れたOLEDディスプレイとフレキシブルなデザイン
Asus ProArt PX13の最大の魅力は、13インチの3K OLEDタッチスクリーンである。高解像度かつ鮮やかな発色を実現するディスプレイは、クリエイティブな作業に理想的で、0.2msの応答速度を持つことで、映像編集や画像処理が快適に行える。さらに、OLED特有の深い黒と鮮明なコントラストが映画鑑賞やビジュアル制作を一段と楽しめるものにしている。
また、ProArt PX13は、2-in-1デザインのフレキシビリティも魅力のひとつだ。通常のノートPCスタイルのほか、タブレットとしても使用可能で、折りたたみ方次第で複数のモードに対応する。クリエイティブな作業中はもちろん、ビジネスやプレゼンテーションの場でも、その柔軟性は非常に便利だ。
加えて、U.S.ミリタリースペックの厳格な基準を満たす堅牢な設計も特徴で、外出先での使用に耐える耐久性を備えている。これらの要素が合わさり、ProArt PX13はビジュアルクリエイターにとって非常に魅力的な選択肢となっている。
AIアプリによるクリエイティブ作業の革新
Asus ProArt PX13は、AIを活用したクリエイティブアプリケーションを搭載しており、これが他のラップトップと一線を画す大きなポイントである。特に注目すべきは「MuseTree」と「StoryCube」という2つのアプリだ。「MuseTree」は、手書きのイメージやテキストをもとにAIが画像を生成するもので、アイデアの可視化やブレインストーミングに非常に役立つ。
もうひとつの「StoryCube」は、写真を自動で分類し、顔認識を使ってアルバムを整理するアプリで、膨大な量のビジュアル素材を取り扱うクリエイターにとって便利なツールとなる。写真の整理が簡単になるだけでなく、特定のプロジェクトごとに素材を分類しやすくなるため、作業効率が大幅に向上する。
これらのAIアプリは、まだ発展途上ではあるが、その革新的な機能はすでに多くのクリエイターにとって有用なツールとなっている。今後のアップデートでさらに機能が洗練される可能性があり、将来性も非常に高い。
高性能ハードウェアとやや弱いバッテリー寿命
Asus ProArt PX13は、AMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサを搭載し、Nvidia RTX 40シリーズのGPUと最大64GBのLPDDR5X RAMを組み合わせている。これにより、大容量のビデオ編集や3Dレンダリングといった高負荷なクリエイティブ作業もスムーズに行える。さらに、DLSSによるフレームスムージング機能を活用すれば、軽めのゲーム用途にも対応できるパフォーマンスを持っている。
ただし、ProArt PX13の弱点として、バッテリー寿命の短さが挙げられる。9時間28分の連続使用時間は、他の競合機種と比べるとやや見劣りする。特に、外出先で電源が確保できない状況では、この点が気になることだろう。また、60Hzのリフレッシュレートも、クリエイティブ作業においてはもう少し高い数値が求められる場面がある。
それでも、電源が近くにある環境であれば、バッテリー寿命は大きな問題にならないだろう。卓越したパフォーマンスとAI機能を考慮すれば、バッテリーの短さは許容範囲内であるといえる。
使い勝手と惜しい点
Asus ProArt PX13は、使いやすいキーボードやタッチパッドも大きな魅力である。キーボードは、1.7mmのキートラベルを持つバックライト付きのチクレットデザインで、タイピングの応答性が高い。また、ディスプレイの輝度を調整できるため、目の疲れを軽減しながら作業を続けられる点も評価されている。
一方で、DialPadの操作性には改善の余地がある。この機能は、タッチパッド上でのジェスチャーを利用して、Photoshopでのブラシサイズ調整などを行うものだが、操作が過敏で、意図しない動作が起きることが多い。使いこなすにはコツが必要だが、実際の使用においてはやや不安定である。
また、Asus Pen 2.0が一部の小売業者では同梱されていないことも残念だ。デジタルアーティストにとって必須のアクセサリであるが、別途購入が必要な場合があるのは不便である。このような点を除けば、ProArt PX13は全体的に高い完成度を誇る。