Microsoft Wordの「スマート検索」機能が廃止されることが明らかになった。この機能は、単語やフレーズを右クリックすると定義や類義語、Wikipediaの情報などを即座に取得できる便利なツールだったが、2025年1月1日をもって完全に削除される。

現在すでに「スマート検索」を利用しようとすると、検索結果が表示されず、エラーメッセージが出る状態になっている。この機能は長年Bingを基盤に提供されてきたが、Microsoftはこれを削除し、ユーザーを生成AI「Copilot」へ誘導する狙いがあるとみられる。

特に注目すべき点は、「スマート検索」がサブスクリプション版のWordだけでなく、スタンドアロン版「Office 2024」からも削除されることだ。Copilotはこのバージョンでは利用できないため、単独での機能強化ではなく、Microsoft 365全体の戦略変更の一環である可能性が高い。

「スマート検索」の役割とユーザーに与えていた利便性

「スマート検索」は2016年に導入され、Microsoft Word内で単語やフレーズの意味を即座に調べられる機能として広く利用されてきた。この機能はBingを基盤としており、定義や類義語、Wikipediaなどの情報を統合表示することで、ユーザーがWordを離れることなく文書作成を続けられるよう設計されていた。

特に文章作成や翻訳作業を行うユーザーにとって、「スマート検索」は不可欠なツールだった。例えば、専門用語を調べたり、正確な表現を見つける際に役立ち、単純なスペルチェック以上の価値を提供していた。また、学術論文やレポート作成の際には、Wikipediaやオンライン辞書を素早く参照できる点も魅力だった。

しかし、現在この機能を使用しようとすると、検索結果が表示されず、エラーメッセージが出る状態となっている。サポートページにも「2025年1月1日をもって廃止される」と明記されており、すでに機能の段階的な停止が進行している可能性が高い。利便性が高かったこの機能の廃止は、Wordの利用スタイルに影響を及ぼすだろう。

「スマート検索」の廃止とCopilotの関係性

Microsoftは近年、AI技術を積極的に推進しており、その中心にあるのが「Copilot」だ。Copilotは従来の検索機能に代わる存在として、より高度な文章作成支援を提供することを目的としている。Bingを活用する「スマート検索」とは異なり、Copilotは生成AIを活用し、文脈を理解した上で適切な情報を提示する仕組みを採用している。

この流れを考えると、「スマート検索」の廃止は、Microsoftが従来の検索モデルからAI主導のアシスタントへシフトしようとしている一環と捉えられる。実際に、WordだけでなくExcelやPowerPointなどでもCopilotの統合が進んでおり、MicrosoftはユーザーがAIを活用することを前提とした製品設計を進めている。

しかし、CopilotはMicrosoft 365のサブスクリプションプランで提供されるため、従来のWordユーザー全員が利用できるわけではない。特にスタンドアロン版「Office 2024」ではCopilotが搭載されておらず、これまで「スマート検索」を頼りにしていたユーザーにとっては代替手段がなくなる可能性がある。

こうした背景を踏まえると、「スマート検索」の廃止は単なる機能削減ではなく、Microsoftのサービス形態そのものを大きく変える動きと言える。

今後のWordの使い方とユーザーに求められる適応

「スマート検索」の廃止によって、Wordを使った情報収集の方法も変わる可能性が高い。Copilotが利用できる環境では、AIによる支援があるため、従来以上に高度な検索が可能になると期待される。しかし、Copilotの利用が前提となることで、Microsoft 365の契約が必須となる点には注意が必要だ。

一方で、Copilotを利用できないユーザーは、代替手段を探す必要がある。例えば、Edgeの「サイドバー検索」やブラウザ拡張機能を活用することで、従来の「スマート検索」と同等の機能を補うことは可能かもしれない。ただし、Word上で直接検索できるわけではないため、操作性の面では劣る点は否めない。

また、Microsoftが今後どのような機能を提供していくのかも注目される。例えば、Copilotの一部機能を無料で提供する可能性や、新たな検索ツールがWordに統合される可能性も考えられる。「スマート検索」の廃止は確定事項だが、それに代わる新しい使い方を見つけることが、今後のWordユーザーに求められる適応となるだろう。

Source:PCWorld