ValveのSteamOSが、ASUSのハンドヘルドゲーミングデバイス「ROG Ally」と「ROG Ally X」に対して、ディスプレイ設定機能とVRR(可変リフレッシュレート)サポートを追加した。これにより、最大120HzのVRRを活用し、より滑らかなゲームプレイが可能となる。VRRは、ゲームのフレームレートとディスプレイのリフレッシュレートを同期させ、画面のティアリングを防ぐ技術である。

SteamOSのアップデートでVRR対応を強化

Valveが開発するSteamOSの最新アップデートにより、ASUSのハンドヘルドゲーミングデバイス「ROG Ally」と「ROG Ally X」が、ディスプレイ設定機能と可変リフレッシュレート(VRR)に対応した。これにより、ゲームプレイ時の映像がより滑らかになり、視覚的なティアリングが軽減されることが期待されている。特に、VRR技術はNVIDIAのG-SyncやAMDのFreeSyncとしても知られ、フレームレートとディスプレイのリフレッシュレートをリアルタイムで同期させる技術だ。

ROG Allyシリーズの最大リフレッシュレートは120Hzであり、VRRの範囲は48Hzから120Hzまで対応する。この範囲はハンドヘルドデバイスとしては広く、家庭用ゲーム機に匹敵する柔軟性を持つ。このアップデートにより、ROG Allyはさらに競争力を高め、ゲームプレイの快適さを向上させることができるだろう。

今回のSteamOSのアップデートは、Valveが今後も他のデバイスへSteamOSを拡大する計画の一環であることを示唆している。特に、今後はより多くのPCやハンドヘルドデバイスへの対応が期待されており、ROG Allyシリーズへの対応もその第一歩と言えるだろう。

ROG Allyでの120Hz VRRがもたらすゲーム体験

ROG Allyに搭載されたディスプレイは、最大120Hzのリフレッシュレートに対応しており、今回のSteamOSアップデートによるVRRサポートは、この高いリフレッシュレートを最大限に活かす機能である。一般的なディスプレイは、リフレッシュレートが固定されているため、ゲームのフレームレートが変動すると画面がチラついたり、ティアリングが発生したりするが、VRR技術はこれを防ぎ、スムーズな映像表示を実現する。

特にハンドヘルドデバイスでは、バッテリーの消費を抑えながらも高いフレームレートを維持することが難しいが、ROG Allyのような高性能なハードウェアとVRRの組み合わせにより、これが可能となる。これにより、プレイヤーはグラフィック設定を最大にしても、快適なゲーム体験が得られる。

このような技術の進化は、モバイルゲームプレイの質を大きく向上させるものであり、特にFPSやアクションゲームなど、動きの速いタイトルでその恩恵を強く感じることができるだろう。ROG AllyでのVRR対応は、今後のハンドヘルドゲーミングデバイスのスタンダードを引き上げる重要な機能である。

Steam Deckとの比較:次世代モデルに期待される改善

ROG AllyがVRRに対応した一方で、Valveの自社製ハンドヘルドデバイスであるSteam Deckは、現時点でVRRに対応していない。この違いは、今後のSteam Deckの次世代モデルにおける重要な改善ポイントとなるだろう。現在のSteam Deckは、ディスプレイ自体の性能は優れているものの、VRR非対応という点で一部のユーザーにとっては物足りない部分がある。

特にSteam Deck OLEDモデルはHDRに対応し、最大1000ニットの明るさを誇るが、VRRの欠如により、ROG Allyと比較すると映像の滑らかさに差が出る可能性がある。Valveが次世代Steam Deckでこのギャップを埋めるために、VRRサポートを導入するかどうかは注目されるポイントである。

SteamOS自体は、外部ディスプレイや他のデバイスでのVRRをサポートしているため、技術的な障害は少ないと考えられる。今後のアップデートや新モデルでの改善により、Steam Deckはさらに多くのゲーマーにとって魅力的な選択肢となるだろう。

ValveによるSteamOSの今後の展望

今回のROG Ally向けアップデートは、Valveが進めるSteamOSのさらなる普及の一環である。過去の発言からも明らかなように、ValveはSteamOSを他のPCやハンドヘルドデバイスにも広く対応させる計画を持っている。その中でROG Allyシリーズが重要な役割を果たすと見られており、今回のアップデートはその準備の一部と考えられる。

現在、コミュニティベースのSteamOS 3ポート(BazziteやHoloISOなど)は既に存在しており、ユーザーはこれらを利用して非公式にSteamOSを楽しむことができる。しかし、公式のリリースはまだ行われておらず、Valve独特の「Valve Time」による遅れがあると考えられる。

それでも、Steam Deckを含む様々なデバイスでのSteamOSの進化は続いており、特にROG Allyのような競合デバイスに対応することで、Valveはより多くのユーザーをSteamエコシステムに取り込むことができるだろう。今後の正式なリリースが待たれる中、Valveの次の一手に注目が集まっている。