ntelの新型CPU「Core Ultra 9 285K」は、シングルスレッド性能でPassMarkベンチマークにおいて最高スコアを記録し、発売前から注目を集めている。従来の最速CPUであるCore i9-14900Kに対して11%の性能向上を示し、エンジニアリングサンプルながらもそのポテンシャルを見せつけた。一方で、マルチスレッド性能ではライバル機種に劣るスコアを記録しており、今後の展開が注目される。
Core Ultra 9 285K、PassMarkでの記録達成
Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285K」は、発売前にもかかわらず、シングルスレッド性能においてPassMarkのベンチマークで驚異的なスコアを達成した。このCPUは、Intelの次世代Arrow Lakeシリーズに属するフラッグシップモデルであり、従来の最速モデルであるCore i9-14900Kを抜き去る結果を示した。
PassMarkによれば、Core Ultra 9 285Kは5268ポイントを記録し、これはCore i9-14900KSに対して8.2%上回る数値である。さらに、14900Kと比較すると、その優位性は11%にも達する。これにより、Core Ultra 9 285Kは現時点で最速のシングルスレッドCPUとしての地位を確立した。これは、まだエンジニアリングサンプルである可能性が高いことから、最終的な製品ではさらに性能が向上する可能性もある。
ただし、このCPUはシングルスレッド性能に特化しているが、マルチスレッド性能では別の評価を受けている。今後の正式リリースでさらなる性能の進化が期待される。
シングルスレッド性能の大幅な向上
Core Ultra 9 285Kは、シングルスレッド性能において従来のモデルを大きく上回る。特に、競合機種であるCore i9-14900Kとの比較で明らかな差が生じており、14900Kが6.2 GHzのブーストクロックを持つのに対し、285Kは最大5.7 GHzとやや低いものの、シングルスレッド性能においては優位性を発揮している。
このパフォーマンス向上は、Intelが採用している新しいアーキテクチャ「Lion Cove(Pコア)」および「Skymont(Eコア)」の効果が大きい。特に、Pコアのベースクロックは3.7 GHzであり、これはマルチタスク時にも高い効率を維持するための設計だと考えられる。また、285Kは、76MBという大容量のキャッシュメモリを搭載しており、これが全体的な処理速度の向上に寄与している。
このような特徴により、Core Ultra 9 285Kは、高い処理能力を必要とするゲームやシングルタスクでのパフォーマンスにおいて非常に強力な選択肢となるだろう。
マルチスレッド性能での課題
Core Ultra 9 285Kはシングルスレッド性能で抜きん出ているが、マルチスレッド性能に関しては他のハイエンドCPUと比較してやや劣る結果となっている。具体的には、PassMarkにおけるマルチスレッドテストで46,872ポイントを記録しており、これはCore i9-14900Kの60,305ポイントや、AMDのRyzen 9 9950Xの66,702ポイントと比べると大きく下回る。
この結果の一因として考えられるのは、285Kが24スレッド構成であるのに対し、競合のCore i9-14900KやRyzen 9 9950Xはそれぞれ32スレッドを持っている点である。また、Arrow LakeシリーズのCPUは現行モデルとは異なり、ハイパースレッディングをサポートしていないことも影響していると考えられる。このため、シングルスレッドでは優位だが、マルチスレッドでは物足りなさが残る。
それでも、マルチスレッドでの劣勢を補うべく、今後のアップデートや最終版での性能向上に期待がかかっている。
次世代CPUのスペックとリリース情報
Intel Core Ultra 9 285Kは、8つのPコアと16のEコアを搭載した24コアCPUであり、L3キャッシュ36MB、L2キャッシュ40MBを合わせて76MBのキャッシュメモリを備えている。Pコアはベースクロック3.7GHz、最大5.7GHzのブーストクロックを持ち、Eコアはベースクロック3.2GHz、最大4.6GHzで動作する。これらのスペックにより、特にシングルスレッド性能での優位性を確立している。
消費電力については、標準TDP(PL1)が125W、最大消費電力(MTP)は250Wに設定されており、これは同クラスのCPUと同水準である。さらに、このCPUは、10月24日に正式リリースされる予定であり、発売前からその性能に注目が集まっている。競合するAMDのZen 5シリーズとの直接対決が今後の焦点となるだろう。
今後のアップデートや新モデルの登場により、さらに進化する可能性があり、パフォーマンスとコストのバランスがどのように取られていくかが注目される。